前回に引き続き、中小企業が「助成金」を活用する利点を説明しました。今回は、無駄金となるのを避ける「助成金」の効果的な活用方法も見ていきましょう。

日本政策金融公庫などと異なり、返済の必要がない

前回の続きです。

 

●メリット2 返済不要の資金

 

助成金と公的融資を混同している人が多くいますが、この二つはまったくの別物です。公的融資は日本政策金融公庫などが企業や個人に行う融資のことで、民間の金融機関より審査がゆるいなどのメリットはありますが、いずれにしても返済しなければならないお金です。

 

一方、助成金は返す必要がありません。人材獲得の対策を講じたい、これから事業を大きくしたいという場合、このメリットは何より大きいものです。

 

例えば設備投資の融資の相談で私のところに来た経営者でも、詳しく話を聞くと返済不要の助成金で対応できたといったケースは非常によくあります。助成金は、ある意味、自社が負担した雇用保険の一部が返ってきたとも考えられるわけですから、積極的に受け取って経営に活かさない手はありません。

返済に回すのではなく「人手不足の解消」に活用する

●メリット3 労働環境整備の第一歩

 

さらに受給した助成金は何に使おうが、基本的には自由です。人材教育や社員へのボーナスに充ててもいいですし、融資の返済に充当しても構いません。

 

ただしこの再投資の仕方に経営センスが現れます。例えば、受給した助成金を返済に回すといった対策を講じる場合でも、助成金を何に再投資すれば経営効果が最も高いのかという事業計画をしっかりと練らなければなりません。

 

計画と目的をはっきりさせ、最善の方法が返済への充塡であればいいのですが、とりあえず返済に回そうといった曖昧なスタンスでは、その後の経営に活かしきれず「無駄金」になる可能性が高くなります。

 

「雇用関係の助成金」である以上、大前提としては「人手不足」の解消に使うべきです。賃金待遇の改善や労働環境の整備に助成金を充てることで、人手不足解決の第一歩を踏み出せるでしょう。 

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2018年5月28日刊行の書籍『中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい

中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい

寺田 慎也

幻冬舎メディアコンサルティング

経営者は公的支援をフル活用して業績を向上させよ! 税理士・社労士資格を有する経営コンサルタントが豊富な実例をもとにわかりやすく解説。

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