今回は、子ども自身が「自分は何がわからないのか?」を理解する大切さについて見ていきます。※本連載は、子どもたちのやる気を引き出し、考える力をはぐくむ"しつもんメンタルトレーニング"を考案したスポーツメンタルコーチの藤代圭一氏が、子どもの力を伸ばす声がけ・接し方などについて紹介していきます。

大人は「教えよう、教えよう」とする思考が働くが・・・

人にものを教えることはできない。みずから気づく手助けができるだけだ。

 

これはガリレオ・ガリレイの言葉です。

 

僕たちはついつい、子どもたちに「教えよう、教えよう」とする思考が働きます。

 

もちろんこれらは、

 

「失敗して欲しくない」

「より良くなってほしい」

「望んでいる結果を手に入れてほしい」

 

という、愛情から湧き起こる自然なものだともいえます。

 

けれど、「教えすぎること」による、望まない結果もたくさんあります。

 

子どもたちは、たったひとつの正解を探しはじめ、僕たち大人の顔色をうかがい、積極的なチャレンジを控えようとしはじめます。

 

「なんで、教えたとおりにできないんだ?」

 

と怒られ続ければ、自分で考えることをやめ、言われたことだけをこなそうとする思考が働きはじめます。

 

人にものを教えることはできない。

 

みずから気づく手助けができるだけだ。

 

――ガリレオ・ガリレイ

質問を通じて自分と向き合い、気づくきっかけをつくる

メンタルトレーニングの第一歩は「気づく」こと。

 

「気づき」の重要性は、いくら強調しても、しすぎることはありません。

 

子どもたちも僕ら大人も、

 

「自分がいかに知らないか」

「自分がいかに気づいていないか」

「自分はいかに無知か」

 

を認識することが、知的な成長のための第一歩です。

 

「どうすれば、より良くなると思う?」

「失敗した理由があるとすれば何だと思う?」

「10年後、どんな自分になりたい?」

 

人は自分のことをわかっているようで、わからないことがたくさんあるものです。

 

「わたしの課題は何だろう?」

「どんな自分になりたいだろう?」

「どんなときに幸せだと感じるだろう?」

 

好きな食べ物や嫌いな食べ物はすぐに思いついても、

 

「わたしらしい生き方は何だろう?」

 

という問いについては、すぐに答えを出せないように、自分のことでさえ、わからないことがたくさんあります。

 

ですので、まずは、質問を通じて、自分と向き合い、気づくきっかけをつくること。

 

「わたしらしさとは何だろう?」

「どんな生き方がしたいだろう?」

「わたしの長所は何だろう?」

「失敗するときの共通点は何だろう?」

「調子がいいときの前日は何をしているだろう?」

 

子どもたちの世界でも、「何がわからないかをわかっている」子どもは学習の成長が早いと言われています。

 

「今日の練習でわからないことは何があった?」

「うまくいったことは何?」

「練習をし直せるとしたら、どんなことに気をつける?」

「どうすれば、より良くなると思う?」

「次はどんなことを意識したい?」

 

しつもんを通じて、子どもたちの

 

「何がわからないかをわからない」

 

を減らし、「気づく」機会をつくりましょう。

 

 今回のポイント 

 

●人は自分のことを知っているようで、知らないもの

●何がわからないかをわかっている人は学習の成長が早い

●しつもんで「気づきの機会」をつくろう

 

 今回のしつもん  

 

「わたしの課題は何だろう?」

「どんな自分になりたいだろう?」

「どんなときに幸せだと感じるだろう?」

本連載は、メンタルトレーニング代表のメンタルコーチ、藤代圭一氏が運営するサイト、「しつもんメンタルトレーニング」に掲載されたコラムより転載・再編集したものです。サイトはこちら⇒http://shimt.jp/

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