今回は、子どもの注意力・集中力を「環境整備」をすることで高める方法を見ていきます。※本連載は、子どもたちのやる気を引き出し、考える力をはぐくむ"しつもんメンタルトレーニング"を考案したスポーツメンタルコーチの藤代圭一氏が、子どもの力を伸ばす声がけ・接し方などについて紹介していきます。

そばにボールや風船があれば、子どもは触りたくなる

目の前に物があれば、子どもたちはそこに興味が傾き、自然と触ろうとします。目の前にボールがあれば触りたくなるものですし、風船があればいじりたくなるものです。

 

これは僕ら大人もそうですよね。

 

ショーケースに素敵なドレスが飾られていれば足を止めますし、前から欲しかった時計を目にすれば、腕にはめてみようと思うものです。

 

自然な反応です。

 

これは、子どもたちを前にしてお話をさせてもらう時は特に注意が必要です。例えば、話をしている時に上空を飛行機が飛んでいたら、自然とそこに意識が向きます。

 

同じように、僕が話をしている背にお母さんたちがいれば、自然とそちらに意識が向いて、僕の話には耳を傾けづらくなります。

 

近くにボールや風船があれば、触りたくなるものです。

 

動くものや大きな音がするもの、いつも気にしていることに注意が向くことは自然ですし、子どもらしさだとも言えるかもしれません。

 

それに対して「今は何の時間だ?」と問い詰めるのではなく、環境を見直すことで、話を聞いてもらえる可能性はぐっと高まります。

 

集中する、没頭するという状態を生むには、

精神論ではなく、環境や身体感覚から入っていくのが一番です。

――齋藤孝

「集中しなさい」と叱るより、集中しやすい環境作りを

これは練習でも勉強でも同じかもしれません。

 

机の上にゲーム機が置いてあれば、自然とやりたくなるものです。勉強中にテレビがついていれば、頭は自然とそちらに引っ張られますし、隣で憧れの選手が練習していれば、自分の練習はそっちのけで、「見ること」に没頭するはずです。

 

もちろん、大人になればどんな状況や環境でも集中力を発揮する力が求められます。

 

けれど、まずは集中しやすいところから。

 

自転車を乗るときもまずは補助輪をつけて練習するように、徐々にステップアップすることで、大きな怪我を防ぐことができます。

 

「集中しなさい」と伝えることは簡単ですが、まずは、「集中しやすい」環境をつくることで、徐々に集中力を磨いていきましょう。

本連載は、メンタルトレーニング代表のメンタルコーチ、藤代圭一氏が運営するサイト、「しつもんメンタルトレーニング」に掲載されたコラムより転載・再編集したものです。サイトはこちら⇒http://shimt.jp/

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