計算式自体は小学生レベル!?
実際の不動産投資をはじめる前に、必要なお金のレッスンをしておきたいと思います。不動産投資のために必要なお金に関する計算式は、じつは小学生レベルです。たとえば、利回りの計算は、書籍『高校中退父さんのみるみるお金が増える不動産投資の授業』第2章で記述したとおりです。1000万円の物件で12%なら、1%が10万円で、それが12個で12%であり、120万円。単純な計算です。
不動産投資を行うと、いろいろな経費がかかりますが、その額は経験則で年間家賃収入の20〜25%といわれています。それを確認するため、不動産業者から年間ランニングコスト表は絶対にもらいましょう。
100万円の年間家賃収入があっても、「そのうち20万円〜25万円くらいの金額は経費として見込んでおいてください」ということです。そのうち5%くらいが、管理会社に委託した場合の管理費用です。
金額が大きくて悩ましいのが借入金をした場合の返済です。年間家賃収入に占める年間返済額の割合を返済比率といいますが、この比率の留意点は2点だけです。
一つは低ければ低いほどキャッシュフローを生みやすい、すなわち手残りのお金を生みやすいということです。もう一つは、返済比率は大きくても60%を超えないほうがいいということです。40%、35%あたりに抑えるのが理想です。以上が不動産投資を行う側の計算式です。
基本的に銀行は積算価格により「担保価値」を評価
一方、融資を受ける場合、銀行側の計算式も気になるでしょう。これは積算判定といった表現をします。積算価格で担保価値を評価するということです。1棟アパートを例にすれば、担保価値はまず土地と建物に分かれます。土地は単純にその年、その土地の路線価×面積で計算してください。
建物は少し複雑ですが、平方メートルあたりの基準の価格が概ね決まっています。RC(鉄筋コンクリート)だと18万〜20万円、鉄骨だと16万〜18万円、木造だと13万〜15万円です。それぞれに広さを掛けると新価というものが算出できます。新築のときの価格と理解してください。
それをRCだと47年、鉄骨だと34年、木造だと22年という耐用年数で割ると、1年あたりの価値が出ます。その価値に耐用年数−築年数で算出する残存年数を掛けると、現在の建物の価値が算出できます。
そして、土地と建物を合わせた金額が、銀行が評価するその1棟アパートの現在の価格というわけです。基本は小学生で習う四則計算で十分で、細かな数字になる場合、電卓があったほうがいい――、その程度の計算式と考えておけばいいでしょう。
銀行との交渉する場合、細かな計算式は教えてくれなくても、「そのアパートの価値をいくらくらいに見込んでいるか」を教えてくれるケースもあるでしょう。その場合、その見込みより安い金額で買えていれば理想的ということになります。
また、積算ではなく収益還元という考え方もあります。これも理屈はむずかしくありません。たとえば、家賃1000万円の収益物件が利回り10%で売れるには、物件価格がいくらになるか? これが収益還元価格の考え方です。計算法は簡単です。1000万円=10%なので、1000万円÷10で計算すると1%の価格は100万円となりますね。
それを100%分とすればよいので100倍します。すると、この収益物件の値付けは100万円×100=1億円、このような感じです。このご時世で都心だと5%なんて物件もありますから、同じような計算方法で2億円となるわけです。
なお、銀行から融資を受ける場合、銀行の収益判定の基本も知っておいて損はありません。それは満室時の年間家賃×80%−運営経費という計算式をもとに算出します。銀行側としては、返済額をその金額以上の額になるように利率を設定できれば、融資しても儲けがあるという考え方です。でも、銀行によって評価はさまざまで、そこにチャンスが潜んでいるんですけどね。