我が国の刑事は「実体験」と「独学」で学ぶしかない
刑事にとってウソを見抜くスキルは極めて重要です。では、刑事はどうやってそのスキルを学んできたのでしょうか?
アメリカでは、FBIやCIAの元捜査官が「ウソを見抜くスキル」を教えるコンサルタント会社を設立して、現職の警察官に教えているケースもあります。しかし、私の知るかぎり、我が国にそんな会社はありませんし、そもそも警察学校ではウソの見抜き方を教えていません。つまり、我が国の刑事は実体験と独学で学ぶしかないのです。
ウソを見抜く必要性が高い職業はたくさんあるが・・・
世の中には、ウソを見抜く必要性が高い職業はたくさんあります。
例えば、公務で言えば警察官を筆頭に、国税調査官、海上保安官、自衛官、それらに加えて許認可が絡む役人などは全てそうですよね。民間では、金融機関の与信担当者、空港の保安検査の警備員、企業の採用面接官・・・挙げればキリがありません。
実はこれらの方々も、ウソの見抜き方を誰からも教わっていません。自分の実体験と独学で学んでいるのです。これは、我が国にはウソを見抜くスキルを学べる風土や教育制度がないことを物語っています。
以前、私の後輩で現職の刑事が、私の主催するセミナーに参加しました。
彼は「後輩の刑事からウソの見抜き方を聞かれても教えられない。だから、森先輩に教わりにきました」と言うのです。
つまり彼は、なんとなくウソを見抜いていますが、体系的な理論としては構築されていません。だから後輩に教えられないのです。セミナーに参加した彼は「すごく勉強になりました。現職に教えてあげて欲しいです」と言っていました。
このように、警察官も含めウソを見抜かなければならない方々のスキルが向上できたら、仕事の成果はもっと上がるはずです。私は、このスキルがどんどん世の中に広がることを望んでいるのです。