前回は、「収益性の低い物件」を購入した場合の対策について説明しました。今回は、買い替えなどで本当に「収益性の高い物件」を選ぶためのポイントを見ていきます。

収益性の良し悪しを決めるカギは「立地」

前回述べたように、不動産の買い替えといっても、安易に賃貸不動産を買うことはお勧めできません。では、どのような物件を買うべきなのでしょうか。

 

一口にいえば、収益性の高い物件です。そして、収益性の良し悪しのカギになるのは、やはり立地です。駅から近い・幹線道路に面している・大型商業施設や学校などが近くにある・近い将来、新駅ができる予定など、人が多く集まってくる場所は賃貸アパートや貸し店舗、駐車場などの需要が高く、安定した収益が見込めます。

 

買い替えをすることで賃料収入が増えると、課税資産が膨らんで相続税が高くなるのが心配だという人は、贈与で賃貸不動産を子や孫に譲り、賃料収入がそちらに流れるようにするなどの回避策があります。

 

地方の人が都心にマンションなどを買おうとするとき、「土地勘がないために、どこのマンションを買えばいいかが分からない」という声をよく聞きます。また、「収益性を見込める物件がほしいが、自分では見つけられない」という人も多くいます。

 

その点でいえば、相談に乗ってもらったり、意見を求めたりする相手は、①投資の視点だけでなく相続対策の視点も備えている、②不動産の事情に詳しい、③ニーズの高い賃貸不動産を把握している、などの条件を満たす専門家であることが大事です。

 

特に収益性を期待して購入する場合は、「机上の空論利回り」に注意が必要です。「机上の空論利回り」というのは、とにかく不動産を売りたい業者が、「このマンションを買って人に貸すと、こんなにも利回りがありますよ!」と、購入した際の〝おいしいところ〟だけをクローズアップして説明し、その気にさせるセールスの手法です。

 

一見、利回りは良い数字になっていても、実際には賃料に妥当性がなかったりして、キャッシュフローを考えると、とても良い利回りとはいえないものもあるので注意が必要です。不動産の広告に記載されている利回りを信用して買ったものの、実際にはいくらも手元に残らず、むしろ借金だけを背負ってしまっている失敗例は山ほどあります。

不動産購入はやはり「誰に相談するか」がポイント

また、節税するつもりでマンションを買ったはいいものの、5年10年するうちに空室が増えてきて収益性が落ち、その一方で維持費がかさんで目を白黒させるというのでは、上手な対策とはいえません。マンション購入のメリットを大きく取り上げた書籍はたくさんありますが、そこに潜むデメリットの回避方法については、あまり触れられていないと思います。

 

相続対策における不動産購入は、〝誰に相談するか〟が重要です。不動産業者は物件を売ればそれで終わり、税理士は相続の手続きが済めば終わりというように、それぞれが〝点〟でしか顧客と関わっていません。

 

本来は、相続税の節税になる買い方だけでなく、相続が終わった後どうなるかまで視野に入れた〝線〟で、顧客と関わっていくべきなのです。そういう長期的な視点でアドバイスやフォローをしてくれる専門家に依頼すると、大きな失敗をしなくて済むはずです。

本連載は、2014年11月29日刊行の書籍『開業医の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

開業医の相続対策

開業医の相続対策

藤城 健作

幻冬舎メディアコンサルティング

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