前回は、税理士によって相続税額が異なる理由と、不動産に詳しい税理士を見極める方法を説明しました。今回は、土地の評価減につながるいくつかのポイントと、土地評価の計算方法について図を交えて見ていきます。

所有地がどの評価減に当てはまるかチェックしておく

土地の評価減につながるポイントには、どんなものがあるか見ておきましょう。実際の評価や鑑定はプロに任せるとしても、自分で「この評価減はうちの土地に当てはまりそうだな」と目星をつけておくことは大事です。税理士を依頼するときに、自分が気になるポイントに答えてくれるかどうかもチェックできます。

 

<よくある評価減のポイント例>

 

●間口の狭い土地・・・袋地から延びる細い敷地で道路に接する、いわゆる旗竿地

 

●道路幅の狭い土地・・・建物を建てるとき、道路幅を確保するために土地の一部を提供しなくてはならない(敷地のセットバック)

 

●無道路地・・・道路に接していない、あるいは道路に接する部分が2m未満

 

●不整形地・・・形がいびつで使いにくい

 

●がけ地・傾斜地・・・山の斜面を切り開いたり、大きな川沿いなど斜面を含む

 

●高圧線が上を通っている土地・・・高圧線が走っていると建築制限がかかる

 

●線路沿いの土地・・・騒音や振動が激しい

 

●道路と高低差のある土地・・・道路より高い位置または低い位置にあり、付近の宅地に比べて著しく高低差がある

 

●忌み地・・・墓地やゴミ処理場など多くの人が忌み嫌うものが近くにある

 

●敷地内に神祠のある土地・・・屋敷内にある神社や祠などのご神体を祀り、日常礼拝の用に供しているもの

 

●貸テナント、賃貸アパート、駐車場、貸家、倉庫などの敷地・・・「貸家建付地」など地目によって評価減になる

 

●縄伸び縄縮みの大きい土地・・・昔に測量した土地では、実際の面積よりも広く(あるいは狭く)登記されている場合がある

 

●近隣に比べて広めの土地・・・いわゆる広大地、これに適用すると大幅な評価減につながる(周辺の土地と比べて著しく広い、マンションを建てるには相応しくない、宅地開発にあたって道路をつくるなどの潰れ地が出る、容積率が300%を超えないなどの要件がある)

わずか30㎡の土地に生じる差額が「94.2万円」!?

評価減ポイントが1つあるだけで、これだけ評価額に差が出るという例を挙げておきましょう。「間口が狭い」というマイナスポイントのある土地です(下記図表1参照)。

 

[図表1]評価減のポイント例

路線価が40万円で地積が30㎡とします。単純に路線価で評価をすると、評価額は1200万円です。

 

40万円×30㎡=1200万円

 

間口の狭い宅地は、奥行価格補正後の路線価に、間口距離に応じた間口狭小補正率を掛けて減額調整することができます。すると、評価額は1105.8万円に下がります。

 

路線価40万円×奥行補正率0.95×間口狭小補正率0.07=36.86万円/㎡

36.86万円×地積30㎡=1105.8万円

 

わずか30㎡の土地に生じる差額が94.2万円もありました。これがもっと広い土地だったら? 複数の評価減ポイントがあったら? そんなふうに考えていくと、土地の評価減がバカにならないことがお分かりいただけると思います。

 

[図表2]評価減ポイントがある場合の土地評価の計算方法

本連載は、2014年11月29日刊行の書籍『開業医の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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