「いかに同じか」ではなく「そもそも違う」と考える
私の25年以上に及ぶ、日本とのビジネス経験から、主にビジネスにおいて有効なコミュニケーションのやり方を紹介したいと思います。参考にしていただければ、ビジネスばかりでなくプライベートでの付き合いも、もっとスムーズになるはずです。
私たちは、文化や習慣などが近いと思われる国の人については、「価値観も似ているだろう」と、考えがちです。
『異文化理解力』(英治出版)の著者、エリン・メイヤー氏によると、他国に駐在した外交官についての調査で「文化や生活になじめず、任期途中で帰国することになった」のは、アメリカ人がイギリスに駐在した場合が、一番多いそうです。
日本や韓国などのように、文化が大きく異なる国に赴任したのではなく、同じ英語という言語を話すイギリスだったということに、私は驚きました。
しかし、文化的に近いと感じると、自分が「当たり前」と思うことは、相手もそうだろうと無意識のうちに考えてしまい、違いに突き当たったとき、ストレスになるのでしょう。
地理的にも近く、人々の見た目も似ているが・・・
私は、日本と韓国の間にも、同じことが起こっていると考えます。
地理的にも近く、見た目も似ている日本人と韓国人。そのため、お互いに「きっとそうだろう」という思い込みが多くあり、相手が期待と違う行動をとると、がっかりして非難してしまうのです。
日本と韓国が、うまくやっていくためには、まずは、基本的にお互いは「そもそも違う」という前提を持つ必要があると、私は考えています。
人間関係を構築するとき、私たちは、つい相手との共通点を見つけて「いかに、同じか」で、親しみを感じる傾向があります。友人関係なら、それもいいでしょう。お互いに信頼できるようになれば、相違点も受け入れやすいからです。
でも、ビジネスの現場では少し事情が異なります。違いをわかったうえで、お互いにとって効果的なコミュニケーションをとることが、双方の結果に結びつくのです。