めまい・耳鳴りは、病名ではなく「症状名」
めまい・耳鳴りは、基本的には病名ではなく症状名です。めまい・耳鳴りの原因となる病気や不調は、いろいろあります。心配事があって不安なときや、うつ状態のときに心因性のめまいが起こることもあります。
これまでの連載で、耳や脳神経の構造からめまい・耳鳴りの起こるメカニズムを考えました。それとも関係しますが、めまい・耳鳴りの原因として主なものを挙げるなら、耳のトラブル、そして脳血管のトラブルです。
今回以降では、めまい・耳鳴りの原因となる主な病気を挙げて検討していきたいと思います。病気が特定できれば、めまい・耳鳴りは、その病気に伴う症状として治療します。
ただし、めまいに関しては、原因となる病気が特定できないケースが全体の2~3割と、けっこうな割合を占めています。原因となる病気がないこれらのめまいは、「めまい症」という病名で呼ばれます。
若い患者は片頭痛かメニエール病を疑って診察・治療
どんな病気がめまい・耳鳴りの原因になるかは、患者さんの年代によってある程度傾向が分かれます。
まず、私が多くの患者さんを診てきた経験から言えるのは、50歳代以前の方がめまい・耳鳴りを訴えていらっしゃった場合は、頭痛持ちが多いということです。それ以外は、主にメニエール病の疑いか、耳石によるものがほとんどです。
基本的に、若い患者さんは片頭痛かメニエール病を疑って診察、治療していますが、それでよくなる方が非常に多い印象があります。
めまいと耳鳴りは同時に起こることも多い症状ですが、耳鳴りだけの場合、音に対して過敏になる聴覚過敏と、難聴の2つが主な原因になります。そのうち聴覚過敏による耳鳴りには、片頭痛が関係している場合が多い印象があります。
年配の方になると、脳血管や内耳の加齢による機能低下が増えてきます。そこで、年配の患者さんは脳梗塞などの血管トラブルに注意し、加齢を考慮しながら診るようにしています。例えば、お年寄りの耳鳴りは、加齢による難聴が原因となっているケースが多いといえます。