専門医の間で注目される「めまい・耳鳴り」と片頭痛の関係

前回は、「めまい・耳鳴り」がさまざまな診療科目に関係する理由を解説しました。今回は、めまいの専門医の立場から、めまい・耳鳴りと片頭痛の関係を見ていきます。

めまい・耳鳴りを訴える患者は「頭痛持ち」が多い!?

めまい・耳鳴りという複雑な症状を、各診療科目の先生たちが、自分の専門とする病気だけの視点から診ていると、診断が中途半端になったり、適切な治療が行えなかったりする可能性があるのではないかと思います。

 

例えば、脳神経外科の医師は脳だけを診る、整形外科の医師は頸椎(けいつい)だけを診る、耳鼻咽喉科の医師は耳だけの病気として診るといった状態だと、個々の患者さんのめまい・耳鳴りの「本質」を、どの医師も見抜けないということが起こるのではないかということです。

 

私がそう思うのは、めまい・耳鳴りを訴えて来院された患者さんたちに、よく話をうかがうと頭痛持ちだったというケースが思いのほか多いからです。

 

耳鼻科には、頭痛を治したいという動機でいらっしゃる患者さんはほとんどいません。そして、患者さんの多くは、普段悩まされている頭痛とめまい・耳鳴りは関係ないと思っていますから、自分から頭痛の話をすることもありません。

 

めまい・耳鳴りで来院した患者さんたちに、私が問診をしてみると「はい、実は片頭痛が原因です」という話が多いのです。

 

そういう患者さんたちの多くは、以前から頭痛持ちなので頭痛には慣れてしまい、「持病あるいは体質だから治らない」と考えておられます。そして、市販の頭痛薬を飲んで対処しているという人がほとんどです。

的確な診断には「片頭痛」を見抜くことが重要

実は、この片頭痛、近年、めまい専門医の間で注目されているのです。ここ数年、頭痛をめぐる研究交流が盛んになり、頭痛専門医が増えつつあります。頭痛外来も、病院の重要な診療窓口になってきています。

 

そして、神経外科、脳外科の医師はもとより、耳鼻咽喉科、心療内科、婦人科など診療科目を超えた多くの医師が頭痛の学会に参加しています。診療科目の枠を超えて、適切な片頭痛の治療をしていこうという機運になっています。

 

片頭痛の人は、市販の頭痛薬・鎮痛薬を常用している場合が多く、薬の使い方が適切でないと、薬が症状を悪化させてしまう「薬物乱用頭痛」のパラドックスに陥ってしまうことが少なくありません。

 

自分では、片頭痛と無関係だと思っているめまい・耳鳴りが、片頭痛のひとつの症状だという場合があるのです。そうした方の症状は、市販の薬ではよくなりません。長い年月、つらい発作とつきあいながら生活を続けている方がたくさんいらっしゃいます。

 

しかし、医師が片頭痛を見抜いて適切な診療を行えば、多くの患者さんがつらい状況から救われるのです。めまい・耳鳴りを的確に診断するためには、片頭痛を見抜くことがとても大事なのです。

 

[図表]専門科目のみでは診断が難しい「めまい」

 

医療法人社団一医会 耳鼻咽喉科渡辺医院 院長 

1951年、東京生まれ。岐阜大学医学部卒業。東大病院分院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を通して、めまい、耳鳴り、難聴、いびきなど多くの症状に接し研鑽を積む。1988年に渡辺医院を開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医の資格を持つ。日本耳鼻咽喉科学会、日本めまい平衡医学会、日本聴覚医学会、日本頭痛学会、日本気管食道科学会所属。めまい・耳鳴りのみならず、耳鼻科の切り口から危険な頭痛を見抜き、片頭痛の治療を行っている。

医療法人 社団一医会 耳鼻咽喉科 渡辺医院
https://miminari-watanabe.com/

著者紹介

連載本当は怖い「めまい・耳鳴り」の基礎知識

本当は怖い めまい・耳鳴り

本当は怖い めまい・耳鳴り

渡辺 繁

幻冬舎メディアコンサルティング

めまい・耳鳴りを完治させるためには「市販薬に頼り切らない適切な対処と日常生活での心がけ」がカギとなります。 耳鼻科の切り口からめまい・耳鳴りの根本原因を見抜き、治療することに長けた著者が、つらい症状を治すための…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧