内耳のトラブルが「めまい・耳鳴り」の一因に
前回の続きです。
これまでの内容を簡単にまとめると、内耳には、音を感じる蝸牛と、回転運動をとらえる三半規管、直線的な動きや重力をとらえる前庭(耳石器)があります。
つまり、耳という器官には、音を聞く働きのほかに、体の動きを感じてバランスを取る働きもあるわけです。耳鼻科的に見ると、これらの感覚に異常があると、音の感じ方や平衡感覚に狂いが生じます。つまり、耳鳴り・めまいです。
蝸牛になんらかのトラブルが生じると、音の信号伝達に支障が生じることになります。また、蝸牛のどこかで有毛細胞の調子が悪くなると、特定の周波数帯の音が聞こえにくくなります。それらが、耳鳴りの一因となります。
また、三半規管や前庭にトラブルが生じると、頭の動きに過敏になって目が回ったり、平衡感覚が鈍って体のバランスが取りにくくなったりするでしょう。それがめまいの一因だと考えることができます。
聴覚・平衡感覚は、神経や脳の状態にも影響を受ける
ただし、めまいや耳鳴りの原因になるのは、耳に起こるトラブルだけではありません。聴覚や平衡感覚には、内耳から電気信号を伝える神経や、その信号を受け取る脳の状態も関わっています。
内耳から脳に音の情報を伝えるのは蝸牛神経、体のバランスに関わる情報を伝えるのは前庭神経です。この蝸牛神経と前庭神経は、ともに8番目の脳神経として「聴神経」(内耳神経)を形成しています。
この神経は、体のほかの部位とどのように連絡しているのでしょうか。そのネットワークを見てみると、耳のほかにも、めまいや耳鳴りの発症に関わる器官があることがよくわかります。