半規管、前庭神経・・・耳の内部の構造は?
前回の続きです。
めまい・耳鳴りには、以上のような多様性があります。では、この微妙かつ複雑な症状はなぜ起こるのでしょうか。めまい・耳鳴りが生じる理由を理解するには、耳と脳のしくみを知っておく必要がありそうです。図で説明しましょう。
[図表]耳(内耳)の働き
聴覚と平衡感覚に深くかかわっている「内耳」
上記は、耳の構造を描いた図です。私たちがふだん「耳」と呼んでいる部位は、耳の構造からいうと「外耳」に当たります。耳介(耳たぶ)で集めた音波が、外耳道を反響しながら入っていき、鼓膜を振動させます。こうした外耳の働きは、皆さんよくおわかりのことと思います。
鼓膜の奥は「中耳」と呼ばれる部位です。ここは鼓室という部屋になっていて、音波を増幅して奥に伝える太鼓のような役目をします。鼓膜の内側には3つの耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)という骨がつながっています。鼓膜が振動すると、これらの小さな骨が振動を増幅して伝えるのです。
中耳の部屋の壁は粘膜になっていて、鼓室の中と鼓膜の外との気圧が同じになるように調節しています。また、細菌などを粘液でとらえて吸収し、鼓室内を衛生的に保つ役割も持っています。ご存じの中耳炎は、この粘膜の機能が乱れて起こる病気です。
さて、その奥にあるのが、耳の聞こえ具合(聴覚)と全身のバランス(平衡感覚)に深くかかわっている「内耳」という部位です。