目まい・耳鳴りに悩まされる人は非常に多い
めまい・耳鳴りは、私のような耳鼻咽喉科の医師にとっては日常的に診察している症状です。
特に当院では、専門として「めまい・耳鳴り」を掲げていることもあり、お子さんから年配の方まで、耳鳴りの患者さんが多くいらっしゃいます。
患者さんたちが訴えるめまい・耳鳴りの症状はさまざまです。大げさなようですが、めまい・耳鳴りの専門を標榜している耳鼻咽喉科の専門医としては、多様な患者さんの訴えによく耳を傾け、きちんと診断をつけるのも腕の見せどころだと考えています。
めまい・耳鳴りに悩まされている人は非常に多くいらっしゃいます。
「はじめに」でも触れましたが、統計をもとに考えると、めまいに悩まされている人の割合は、全年齢を通じて1割を超え、65歳以上の年配の方々では3割以上にのぼるのではないかと思われます。
耳鳴りのある人は、全年齢を通じて2割超。50歳代では3割以上、65歳以上の方々だと7割近くいらっしゃると推計されます。
このようにありふれた症状でありながら、なかなかピタリと治らないと感じている患者さんが多いのが、めまい・耳鳴りなのです。
症状の表現が難しく、医師に伝わりにくいことも
私は専門医として、もっと患者さんにも医師にもしっくりくるめまい・耳鳴りの診療はできないのかを、ずっと考えてきました。そして、自分なりに現在到達している考えを、多くの患者さんや医療関係者と共有できればと思うようになりました。
さまざまな体の不調の中でも、めまい・耳鳴りの症状は、なかなか第三者からわかりにくいのが特徴です。
例えば、「熱がある」「セキが出る」、あるいは「胃が痛い」などと聞けば、誰にでも(医師や看護師でなくても)どんな症状かおよそ察しがつきます。
しかし、「めまいがする」「耳鳴りがする」とだけ言われても、どんな症状なのか具体的に伝わらないことが多いのではないでしょうか。
患者さん自身、自分の感じている症状をうまく言葉で表現できず、もどかしさを感じることも多いのがめまい・耳鳴りではないでしょうか。
こんなことを言うと頼りなく思われてしまうかもしれませんが、ご本人がどんなめまい・耳鳴りを感じているかは、医師にも簡単には見抜けません。だからこそ、めまいや耳鳴りの診療では、言葉でのコミュニケーションがとても重要になると思います。