一生で「平均11回」も引っ越しをするアメリカ人
私がアメリカの不動産投資をお勧めする理由には、日本にはないアメリカ人の「投資マインド」という要素もあります。
普通のアメリカ人が一生のうちに「何回」引っ越しをするかご存じでしょうか? その回数は、なんと平均11回といわれています。アメリカでは大学を卒業すると親元を離れるのが当たり前です。日本のように成人しても両親と一緒に実家暮らしという人は少数派です。自立して働いて得た稼ぎの一部を貯金し、ある程度貯まったら家を買う。パートナーができたら、少し広い家に買い替え、子どもができたらもっと大きな一軒家を買うというように、自身のライフスタイルに合わせて家を買い替えていくのです。さらに子どもが自立して家を出たら、ダウンサイジングして小さめの家に買い替え、お年を召したら老後をゆったり過ごせる家に移り住むという人も少なくありません。「住宅は一生の買い物」といわれる日本とは180度違う文化といえるでしょう。
[図表1]アメリカの賃貸住宅の入居率
ライフスタイルに合わせて住まいを変えるのならば、賃貸住宅で十分なのでは? と思うかもしれません。実際、賃貸住宅を利用する人はアメリカでも少なくありません。その証拠に、アメリカの賃貸住宅の入居率は90%を超えています。ただ、その多くは世界中からビジネスでアメリカに来ている駐在員や学校に通うために賃貸住宅を利用する学生などです。なぜ、そのほかのアメリカ人は賃貸住宅に住まないのでしょうか? 簡単にいってしまえば、家を買ったほうが得だからです。
年平均約2%!? アメリカ不動産価格の上昇率
日本ではしばしば、「マイホームvs賃貸」論争が巻き起こります。家賃に費やすお金を住宅ローンの支払いに回せば自宅が手に入るという「マイホーム派」と、修繕積立金や税金を考えると自身の生活に合わせて住み替えが可能な「賃貸派」というように、議論が真っ二つに分かれがちです。しかし、アメリカでどちらがよいかと聞けば「マイホーム派」が多数を占めることでしょう。
なぜなら、アメリカ人にとって家を買うという行為は、住まいの確保と同時に投資的側面を持つからです。前述したように、アメリカの不動産価格は右肩上がりを続けています。年平均の不動産価格の上昇率は約2%。築年数にかかわらず、買ったときよりも高値で売れるケースのほうが圧倒的に多いといっていいでしょう。だから、買ったほうが基本的に得なのです。
日本で「マイホーム派」と「賃貸派」が拮抗しているのは、〝出口〞の際に取得時からの値上がりを期待できないからです。マイホームに10年住んで、売りに出そうと思っても、売却額でローンの残債を払い切れないというケースは少なくありません。残債とマイホームの評価額が釣り合わないために、家を持つ負担が大きすぎて「賃貸のほうがお得」という主張も通ってしまうわけです。
このように、アメリカ人の不動産に対する投資マインドは非常に強いといえます。新興国で不動産投資を行った場合には、その売り先は外国人投資家になりますが、アメリカの不動産であれば、外国人のみならず、アメリカ人も売り先になるわけです。売り先のすそ野が広いほど、値崩れが起きにくく、売買成立までにかかる時間も短縮されるのは間違いありません。
[図表2]アメリカと日本の不動産比較