今回は、不動産投資における「二重」の収益構造を見ていきます。※本連載は、マネー総合研究所・所長の杉田卓哉氏の著書、『外貨積立から不動産投資まで 今すぐ資産を増やす「マネー新常識」』(サンライズパブリッシング)より一部を抜粋し、自身の労働時間に依存することなく、大きな収入を得るための資産運用の方法を紹介します。

家賃が下がらなければ、売却価格もほとんど下がらない

購入時期が早いほどよいということの理由は他にもあります。

 

一般的にいうキャピタルゲインは、前に述べたような市場価格の値上がりによるもののことを指しますが、レバレッジをかけて行なう不動産投資にはもうひとつのキャッシュポイントがあります。それは残債の減りによる売却益です。

 

例えば3000万円の物件を買い、5年後に売却、そのときの残債(ローン残高)は2250万円だったとします。保有期間内に750万円を返済したわけです。

 

このとき、売却価格が買い値と同じ3000万円であれば、ローンを返した後の差し引き750万円が手元に残ります(実際には税金が150万円ほどかかります)。5年経過した不動産を元値に近い価格で売れるのか?  と思うかもしれませんが、こと不動産投資に関しては十分あり得ることです。不動産価格の査定方法はいくつかありますが、収益物件で使われる収益還元法は、賃料と利回りの相場との関係で算出します。家賃が下がらなければ、売却価格もほとんど下がらないのです。

 

保有期間中に受け取ったキャッシュフローの他に、ローンの返済分がキャピタルゲインとして手に入る不動産投資は、収益構造が2本立てになっており、残債の減りがそのまま利益になるのです。

日本の金利上昇リスクは高くない!?

レバレッジには金利上昇リスクが伴います。借り入れ金利が上がり、返済額が増えてキャッシュフローを圧迫する可能性があるのです。

 

ただ、私の考えでは、日本の金利上昇リスクは高くないと思います。

 

なぜなら、大量の住宅ローンが残っているからです。マイナス金利の状況下で債券による運用が困難になった今、金融機関のお金は不動産投資とともに住宅ローンや消費者ローンに向かっています。

 

ローン金利は新規発行される国債の金利に連動します。つまり、基本的に政府と日本銀行がある程度は操作できると考えられます。

 

不動産投資の金利リスクはたしかに投資家が負うべきものです。ただし返済原資は家賃収入であるため、金利が上がったからといってすぐに実生活に悪影響が出るわけではありません。しかし、住宅ローンは、返済原資が給与収入であるため、短期間で上昇させてしまうと、生活に困窮する人が出てきてしまいます。第2のサブプライムローンになりかねない金利の引き上げを、日本政府が行なうとは思えないのです。

 

長期的には国がインフレ政策を進めていくにあたって、金利も上昇していくことになるでしょう。しかし足元では明確な物価の伸びは確認できておらず、相当な時間がかかるはずです。不動産投資で財産形成の基盤をつくる5年や10年の間に金利が大幅に上がることは、あまり考えられません。

 

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杉田 卓哉

サンライズパブリッシング

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