株式と比べ、株価や配当金が安定している「J‐REIT」
J‐REITは株式と比べて株価や配当金が安定していて、決算月が分散しているという特徴があります。
株式の決算月が分散化していることはすでにお話ししましたが、株式とJ‐REITを組み合わせることで、大家さんのように配当金を受け取ることが可能となります。
2016年、月ごとに私が受け取った配当金は下記図表のとおりです。
[図表]著者の2016年月別配当金受取額
年間合計約110万円を受け取りました。いちばん大きいのが6月(26.73%)、その次が12月(18.53%)です。
6月と12月を合計すると約45%となり、受取配当金の約半分が、2つの月に集中しています。
6月は3月決算の会社が配当金を支払う月です。
会社には、「決算基準日時点の株主に配当金受理等の権利を与え、3か月以内に実施する」という決まりがあります。3か月より早い会社もありますが、大半は3か月程度かかるため、3月決算でも配当金は6月になるのです。
続いて12月は、3月決算会社の中間配当金の支払い月です。
先ほども述べたように、上場企業の7割は3月決算です。そのため、6月、12月の受取配当金が、私が受け取った構成比以上に集中してくる可能性もあります。
一方で、4月の配当金はゼロ。7月の配当金も3万円以下となっており、とても少ないといえます。
1月決算の上場企業はわずか50 社ほどしかありません。1月決算の会社で配当利回りが高い会社に積水ハウス(1928)などがありますが、保有したい株式の選択肢は限られています。
そこで、1月や4月など、決算が極端に少ない月をJ‐REITで埋め合わせることが可能です。
たとえば、1月決算のJ‐REITにスターアジア不動産投資法人(3468)があります。
同社は中規模クラスの不動産保有が中心で、ポートフォリオはオフィスビル、住居、ホテルなどバランス型となっています。東京圏の投資割合が70%という方針ですが、分配金利回りはなんと約6.5%(執筆時)と、積水ハウスの2倍近くあるのです。
「高配当株+J‐REIT」の組み合わせがオススメ
J‐REITは投資対象が不動産になるため、株式と比べて株価や配当金が比較的安定していると、冒頭で記載しました。
もちろん経済環境や投資ムードの悪化により株価の下落は起こります。
分配金についても、同じ分配金が続くという保証はどこにもありませんが、J‐REITが誕生する以前は、数十万円で不動産オーナーになれるなんて、ありえませんでした。
それこそ人生を賭けて多額のローンを組み、失敗できない投資をしていたのです。
J‐REITという選択肢を選ぶことで、投資の負担はだいぶ軽くなりました。
退職後の資産運用を考えた場合、年金に加えて、毎月安定した収入を受け取りたいという気持ちが他の世代より高くなります。しかし、投資信託の現実でも指摘したとおり、第2の年金には不十分です。
そこで私は、「高配当株+J‐REIT」という投資の組み合わせをオススメしています。
高配当株のみへの投資だと、6、12月に受取額が集中してしまうこと、株価が同時期の景気や業績に左右されやすくなることから偏りが生じてしまいます。
このデメリットは、J‐REITを保有することで補うことができるからです。
投資対象を株式と不動産に分散させることにより、より盤石なポートフォリオになるというわけです。