株式と同じように「小口」での購入が可能
前回の続きです。
これだけ大変な不動産投資に対し、J‐REITへの投資はメリットが多くあります。
それぞれ見ていきましょう。
●100億円以上の物件でも、株式と同じように小口で購入可能
個人が不動産を買おうとした場合、現実的には、高くても数億円単位までが限度でしょう。
不動産自体に収益力があるとしても、地震などのリスクもゼロではないため、働いて返済できる範囲を超えた大金を貸し出すことはありません。
しかしJ‐REITでは、100万円の資金を出せる個人投資家が1万人集まれば、100億円が用意できます。
その運用益(利益)を1万人の個人投資家で分け合えば問題になりません。
そのため、少額の投資で大都市の一等地と呼ばれる土地や、そこに建っている物件を購入することができるのです。
●利益のほぼすべてが分配金として配当されるため、利回りが安定している
J‐REITは利益の90%以上を投資家に配分すれば、法人税はかからないという決まりがあります。
J‐REITは会社の儲けのほぼすべてを投資家に配分しているため、利回りを高く実現することができるのです。
株の場合なら、1株利益が100円としても、そのうちの40%、つまり40円が法人税の支払いになります。さらに残った利益も、内部留保や来年以降の業務拡大、あるいは株主優待等に使うため、配当金に回るのは、儲けた一部分でしかありません。仮に配当性向30%だとしたら、配当金は60円×0.3%で、1株18円となります。
しかし、J‐REITでは、利益がそのまま個人投資家に分配金として支払われます。
下記図表の数式を見れば、その違いが明らかでしょう。
[図表]株式投資とJ‐REITの「利益還元」の違い
もちろん、不動産を売却したときの売却益も投資家に分配されますので、決算期によっては賃料プラス売却益が加わり、さらに分配金が高くなります。
投資法人の専門家が「投資判断」に携わる
●不動産の専門家が物件を目利きして、賃貸経営してくれる
J‐REITでは、不動産を検討、購入、売却する時期などの投資判断はすべて、投資法人の専門家が携わっています。
購入後の物件管理やテナント、賃貸の募集なども管理会社が関わっているため安心感があります。
J‐REITは有価証券のため、取得物件の詳細や取得額、物件の稼働率がホームページや有価証券報告書などから知ることもできます。
●分散投資が可能
J‐REITは銘柄により、投資対象になる建物の種類や地域が異なります。投資対象になる建物の種類は、オフィスビル、商業施設、住居、ホテル、物流施設などがあります。
投資する地域も、東京23区内、関東、関西など、銘柄により異なります。
経済動向が悪く消費が下向きの時ならば、利回りの大きさにいちばん影響が出やすい商業施設をメインとしたJ‐REITを売却し、その資金で、長期安定性があり、賃貸の値崩れが少ない住居をメインとしたJ‐REITを多く購入したりすることも可能です。
他にも、風水害や地震などの天災リスクを避けるため、23区内の建物をメインにしたJ‐REIT以外に、関西の建物をメインにしたJ‐REITを購入しておく、ということもできます。
●上場しているため、換金性が高い
J‐REITは株式と同じ有価証券です。市場が開いているときは、いつでも売買が可能です。
そのため、売り注文を出し売買が成立すれば4営業日目には現金化することができます。
現物の不動産を売るには、まず買ってくれる相手を見つけ、交渉しなければなりません。さらに、相手が見つかっても即日売買するのはほぼ難しいでしょう。売りたくても買い手が見つからないケースもあります。
J‐REITについての情報は、「すべての投資家のための不動産投信情報ポータル」というサイトがとても便利です。分配金利回りや決算月など、一覧表でチェックできます。私も重宝しています。