下落しても「配当利回りが上がる」という利点を持つ
株式市場に上場している企業は、成長株や市況関連株など、いくつかのタイプに分類されます。
そのなかで私は、「高配当株」という種類の株を主力投資先としてオススメしています。
高配当株とは、文字どおり、株価に対する配当金をもらえる割合が高い株のことです。
株価が好調な時と下落基調の時とで配当利回りが常に変動するため、何%以上が高配当株だという明確な基準はありませんが、配当利回りが3%を超えていれば、高配当株だと判断してよいでしょう。配当利回りの計算方法は下のとおりです。
<配当利回りの計算法>
私は高配当株が好きで、多くの会社の高配当株を保有しています。
その理由は、高配当株の株価が比較的安定していることにあります。
株価が1000円、配当金が30円、配当利回り3%のA社があるとします。
株を保有した後、順調に株価が上昇するのが理想ではありますが、残念ながら株価が下落することもあります。
仮に、一時的な急落によって株価が750円まで下がった場合、1株につき250円の含み損となります。大変ショックなことです。
しかし利回りに目を向けると、配当利回りが4%に上昇することがわかります。これが一つの買い材料となり、株価が反発していくのです。
他のタイプの株では、「株価下落」は暗い話題でしかありません。しかし、高配当株では、配当利回りが上がるというプラス材料を伴うのです。
続いて、リーマンショック級に株価が暴落した場合を考えてみましょう。
先ほどのA社の株価が600円まで下がった場合、含み損は40%になります。これは相当な損失ですが、配当利回りは5%まで上昇するのです。
高配当株は、高い配当利回りが一つの好材料となり、株価が反発しやすいため、高い配当利回りが株価下落のブレーキ役を果たすという特徴があります。
低リスクで安定しているほか「増配」の可能性も
また、保有している会社の業績がいいと、今まで予想していた配当金よりも高くなると発表されることがあります。これを「増配」といいます。
株式投資は定期預金や国債と違いリスクはありますが、あらかじめ決められた利回りはありません。そのため、会社が儲かった場合、配当金を多くもらえるのです。
さらに「増配」というニュースが、株価上昇効果を生みます。
最近、企業の内部留保(家計の貯金に該当するもの)に対して課税してはどうかと議論が出ていますが、これが実現すれば利益を株主に還元するきっかけになると考えられます。
リスク回避して株式投資をしていないと、資産が減ることこそありませんが、こうした増配などのような収入もないということです。株式投資をしている人と比べると、相対的に資産は大幅減少しているとも考えられます。
過去の業績が安定している会社は、株価に安定感があり、これからも利益をもたらしてくれる可能性が高いです。
とくに高配当株投資は、比較的リスクが低いにもかかわらず、「配当金」「株価上昇」という2つの収益をもたらしてくれるうえに、増配の可能性も持っています。
過去の業績が安定している会社は、株価に安定感がありますし、これからも利益をもたらしてくれる可能性が高いです。
60歳からの株式投資の目的は着実に資産を増やすこと。
高配当株は、まさにそのスタイルに適しています。
リスクは比較的低いにもかかわらず、「配当金」と「株価上昇」という2つの収益をもたらしてくれる高配当株を保有対象に選ぶのが効果的なのです。
【図表】株価が下がると配当利回りが上がる