前回は、経営者が「労働基準」を見直すべき理由について説明しました。今回は、社長が「優秀な経理担当者」をそばに置くべき理由を見ていきます。

経理担当者の一言で、いち早いアクションが可能に・・・

会社にとって、注文を取ってくる営業マンや、現場で製品を製造する職人・作業員は大切ですが、それと同じくらい経理も大切です。経理は日陰の仕事になりやすいですが、自計化や10カ月決算を行う場合は特に、経理は会社の根幹を支える土台として、なくてはならない存在です。

 

社内に優秀で気の利く経理担当が一人でもいれば、社長の仕事は格段に楽になります。

 

たとえば、経理担当者が「今月の試算表ができました」と言って書類を持ってきたときに、「今月入ってくるはずのA社の売掛金が、まだ入ってきていません」と報告してくれれば、社長が自分でA社に電話したり、A社を担当する社員に連絡を取らせたりといったアクションが起こせます。

 

売掛金は時間が経てば経つほど回収するのが大変になります。早い対処ができれば取り逃しがなくなり、資金繰りも安定するでしょう。売掛金回収に割くマンパワーを他の仕事に使うことができるので、社長としても助かるはずです。

社長による試算表の確認は、資金繰りにも好影響

本書『銀行に好かれる会社、嫌われる会社』の第2章で会計について解説しましたが、社長自身が会計や経理のことを1から100まで知っておくべきかといえば、それは現実には不可能なことです。ですから、良い経理をそばに置いておき、自分は要点だけチェックすればいいようにしておくのです。常に自社の現状を「数字で見る」ことが大事です。

 

社長が試算表を確認するようになれば、経理担当もしっかり数字を管理するようになり、資金繰りにも好影響を与えます。反対に、社長が経理に関心を持てなければ、経理の意識も暢気(のんき)なものになります。緊張感のない数字が集計されていくでしょう。

 

ですから、社長は社員にもっと目と心を向けてください。真面目に働いている社員を認め、頑張りを褒めてあげてください。そうすることで、従業員たちは「この社長のために頑張ろう」と思うことができます。何か問題が起きる前に、「これは社長に報告しなくては」と思ってくれます。

本連載は、2016年11月10日刊行の書籍『銀行に好かれる会社、嫌われる会社』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

銀行に好かれる会社、嫌われる会社

銀行に好かれる会社、嫌われる会社

鈴木 みさ

幻冬舎メディアコンサルティング

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