社員の意識のあり方わかる「会社発展曼陀羅」とは?
下の図表は会社を発展させたり、逆に倒産に追い込んだりする社員の意識の在り方を、わかりやすくまとめたものだ。ここからは中小企業の経営者が自社の経営にあたる際、常に意識しておきたい真理が読みとれるこの図を、仮に「会社発展曼陀羅」と呼ぶことにしよう。
[図表]会社発展曼陀羅
あなたを含めて社員全員の意識がこの会社発展曼陀羅の上半分にあれば、あなたの会社は心配ない。いままで通りやっていけば会社は続いていくことだろう。そういう意味もあってこの上半分を「発展界」と名付けることにした。
「自信」と「安心」が中心にくるこの発展界に対して、「劣等感」と「不安」がキーワードとして中心に居座る「堕落界」は、中小企業の社員がけっして陥ってはいけない世界だ。この会社発展曼陀羅は、あなたが経営者として社員を間違った方向に導いていないかを教えてくれる便利なものだ。
経営者であるあなたがこの会社発展曼陀羅を日々意識し、社員の意識を常にチェックして、先手先手を打っていけば、あなたの会社が発展することは間違いない。
あなたが経営者として忘れてはならないことは、全社員が常にこの会社発展曼陀羅のうち「発展界」を意識して仕事をするように仕向けることだ。そして下半分である「堕落界」を反面教師として、日々の仕事に励むようにすれば、会社は永きにわたって存続・発展することだろう。
逆にここで示された真理に無自覚なまま「堕落界」に堕ち、それに気がつかぬままで漫然と仕事をしていれば、あなたの会社は赤字・倒産という悲惨な末路をたどること必至だ。
大企業のようなシステム化が「他力本願」な社員を生む
「発展界」と「堕落界」の本質は、まず「自力本願」と「他力本願」という相対立する2つの概念によって説明できる。
他力本願の世界は、残念ながらいまの日本の企業社会をほぼ席巻してしまっているといっていい。とくに大企業では、製造ラインからはじまって、すべてがシステム化され、社員はそのシステムに乗っかっていくしかない。自分の周りで問題が起きても、組織が大きすぎてそれに対して何か提案することなど不可能だ。
だが一方で、会社という組織にしがみついてさえいれば、社員として生きてはいける。こうした意識から生まれるのが「他力本願」の世界だ。
では、なぜこうした他力本願の世界が生まれたか。
原因はいまや世界最高の水準となった日本の大企業の賃金水準だ。こうした高水準の賃金を維持していくためには、新入社員といえども高い生産性を上げていかなくてはならない。そこで行われる新人研修は、会社のシステムにどうやって人間が合わせていくかを叩き込むもので、個性とか仕事に対する夢とは無縁のものだ。大企業の社員研修では、いろいろと目新しい理屈や口当たりのいい用語がつかわれるが、結果的に、
「あなたの代わりは、だれでもできますよ」
という身も蓋もない現実を正当化するためのものでしかないともいえるのである。