前回は、判断に迷ったら試したい、株の「打診買い」を紹介しました。今回は、「底値」にまつわる相場格言について見ていきましょう。

底値と思えば試しに買い、下がらなければ買い増しを

前回は、試しに少しだけ買ってみる「打診買い」を説明しました。この打診買い「千天元」とほぼ似たような相場格言に、「底値買い重ねのこと」があります。

 

底値だと思ったところでは一度買ってみて、そこから下がらないのであればさらに買い増しをするのがよいだろうという意味です。

 

確実に底値が確認できたところで買うのが最も安心感はありますが、そうではなくても「恐らく底値だろう」と思ったら少し買ってみても構いません。たとえば、安値圏でのもみ合いから抜けた場合、その直前が底値になりますが、もみ合いから抜ける前に少しだけ買ってみるということです。

 

とは言え、自分勝手に「そろそろ底値だろう」と考えるのではなく、「安値圏でもみ合っていて下げ止まっている」「下落していても前回安値を割らないで推移する」など、必ず「そろそろ底値だ」と考える根拠は持っておきましょう。

決して「買い下がり」ではない点に注意

さて、「底値買い重ねのこと」の例として、ここでは2017年4月の村田製作所のチャートを取り上げます。

 

ここでは、相場参加者の心理を少し想像しながらチャートを見てみましょう。3月から下落を続けてきて、4月になると安値圏での保ち合いになってきました。そろそろ底値ではないかと考えられますが、このとき相場参加者はまだ疑心暗鬼の状態です。

 

保有中の人はまだ下がるのではないかと不安で、一方、買いたいと考えている人は「そろそろ底だ」という気持ちと、ここで買って下がったら困るという気持ちの両方があると考えられます。

 

[図表]村田製作所(6981)

 

ただ、どうやら売りたい人はすでに売ってしまっているというのも、このチャートからは見て取れます。

 

その理由は、安値圏での保ち合いを細かく見ていくと、少し安値を切り下げているにもかかわらず、大きく売られていないからです。こういう場合、まだ売り物があればさらに下げるはずです。

 

また、1月、2月まで遡ってチャートを見ると、下落局面でも1万4000円台で下げ止まっていることがわかり、4月も1万4000円前後で保ち合いになっていますから、どうやら1万4000円が節目ではないかと考えられます。

 

つまり、ほぼこのあたりが底値ではないかと推測できるので、ここは「底値買い」のタイミングだろうと判断できるわけです。これも、常に同じ判断が正解とは限りませんが、このケースではこのように考えて、4月24日にまず一度買って、その後、さらに買い増しを行うと有効だったと言えます。

 

気を付けたいのは、決して「買い下がり」ではないということです。「落ちるナイフ」を途中でつかむのではなく、あくまで底値圏で買ってみて、そこからさらに買い足すというイメージを持ってください。

本連載は、2018年2月2日刊行の書籍『「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ常勝無敗の株投資術』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術

「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術

清水 洋介

幻冬舎メディアコンサルティング

「どうもうまくいかない」「なかなか儲からない」これこそ株式投資で誰もが必ず直面する問題……。 そんな悩みを解決すべく、時代を超えても通用する、先人たちの投資成功術をまとめた一冊。 どんな時代にも通用する「株式投…

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