「底値かも」と思ったら、とりあえず少しだけ買う手法
前回の続きです。
チャート上で「どうやら売る人がいなくなった」ということが確認できたら、そこで初めて買いを入れます。ただ、本当に下げ止まったかどうか、なかなか確信が持てないケースもあります。いきなり資金を突っ込んで、「もうはまだなり」でそこからさらに下がるとダメージが大きくなってしまいます。
そこで考えたいのが、一部の資金で少しだけ買ってみる「打診買い」です。わかりやすい話なので相場格言を用いるまでもないかもしれませんが、江戸時代の米相場では打診買いを「千天元」や「萬天元」、「枕米」などと呼んだようです。また、「買い米を一度に買うは無分別、二度に買うべし」という相場格言もあります。
「底値かもしれない」「売りものがなくなったかもしれない」というような「かもしれない」の状況のときには、とりあえず少しだけ買ってみるということです。ただし、このときもチャートとローソク足を見て、買ってもよい状況なのかどうかは確認する必要があります。
打診買いの例として取り上げるのは、2017年4月のTDKのチャートです。17年2月2日に大きく下落し、そこから一旦上昇に転じましたが2月1日の上値を抜けず、そこからずるずると下落していました。しかし、4月半ばに16年11月に付けた安値水準まで下がった後は保ち合いとなり、そこから下がらなかったため、4月21日に打診買いを、さらに上昇が確認できたところで追撃買いをしています。
[図表1]TDK(6762)
チャートとローソク足のパターン知れば打つ手は広がる
また、もう一銘柄、16年11月の船井電機のチャートも見ておきましょう。こちらは、底値ではなく三角保ち合いのチャートです。三角保ち合いとは、株価の上値抵抗線と下値支持線が徐々に近づき、三角形に収束するチャートを指します。三角保ち合いを上に抜けた場合は、その後上昇することが多いため、抜けたところで打診買いをして、さらに上放れを確信できたところで追撃買いをするパターンです。
[図表2]船井電機(6839)
船井電機の場合は、高値を抜けそうで抜けないという状況が3度あり、下げているところでは出来高が少なかった点に注目しました。つまり、「上がるんじゃないか」と思っている人が多いので、下げていてもみんな売ってない。だから、上放れする直前で「今度はいけるだろう」と考えて打診買いをしています。
このように、必ずしも「底値」でなくても買えるチャートもあります。チャートとローソク足のパターンをよく知っておけば、打つ手は広がるということです。