前回は、デイトレードのつもりの株式投資が塩漬けになるパターンを紹介しました。今回は、安易な「押し目買い」を避けるべき理由を見ていきます。

「押し目待ちに押し目なし」

どんな銘柄を買うのか、どんなタイミングで買うのかを考える際に、「押し目」に注目して買おうという個人投資家は少なくありません。押し目とは、株価が上昇トレンドにある中で一時的に下落するタイミングのことです。上昇している中での一時的な下落のため、押し目で買えれば利益が狙いやすくなります。

 

上がっている銘柄の押し目を狙って買う「押し目買い」を好む人が多い理由は、上昇傾向にあるので安心感があり、その中で一時的に下がっている(と見える)ので「少し安く買えた」といういわゆる「お得感」もあるためです。

 

ただ、安易に「押し目買い」を狙うと失敗する可能性が高いと、私は考えています。

 

その理由を説明する前に、まずひとつ相場格言を紹介しておきましょう。本間宗久や牛田権三郎の言葉ではありませんが、古くから「押し目待ちに押し目なし」という格言があります。これは、一般的には「押し目を待っていると上がってしまうから、押し目を待たずに買ったほうがいい」と解釈されています。

 

ちなみに、下落時には逆に「戻り待ちに戻りなし」という格言が使われます。下げているときに少しでも戻るのを待って売ろうとしていると、戻ることもなくそのまま下がっていくという意味です。こちらは、戻りを待たずに売るならサッサと売るべきだということを意味します。

押し目に見えても実は下落の始まり…というケースも

「戻り待ちに〜」のほうは概ねそのとおりだと思いますが、「押し目待ちに押し目なし」の格言には実は別の意図がある、と私は考えています。その別の意図こそが、安易な押し目買いはやめたほうがいいという理由です。

 

それは、押し目に見えて押し目ではないケースが多い、ということです。押し目だと思っていたら下落の始まりで、安く買えてよかったと思っていたら結局損をしてしまった、そんなケースが非常によくあるのです。そのため、この格言にはそもそも押し目を待つな、押し目など探すなという、戒めの意味が込められているのではないかと思うのです。

 

もちろん、本当に一時的な下落でそこから上昇していくこともあります。特に、相場全体の一時的な下げに引っ張られての下落であれば、押し目である可能性もあります。ただ、どちらなのかわからないのであれば、あえて押し目を狙う必要はないでしょう。

 

もし、押し目で買おうというのであれば、チャートや移動平均線との関係から上昇の余地があるのか、材料出尽くしでここがピークではないかなど、総合的に判断した上でそれでも「押し目だ」と言えるときにのみ買いを入れたほうがよいと考えます。

 

ここでは、一見「押し目」に思われて、そこが下落の始まりだったという銘柄の例2017年の村田製作所のチャートを見てみましょう(図表)。

 

[図表]村田製作所(6981)

「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術

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清水 洋介

幻冬舎メディアコンサルティング

「どうもうまくいかない」「なかなか儲からない」これこそ株式投資で誰もが必ず直面する問題……。 そんな悩みを解決すべく、時代を超えても通用する、先人たちの投資成功術をまとめた一冊。 どんな時代にも通用する「株式投…

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