前回は、ローソク足の見極めに不可欠な「相場参加者の心理」を取り上げました。今回は、「買い」のタイミングにまつわる相場格言について見ていきます。

下落のときは逆張りで買い、上昇のときは順張りで買う

前回の続きです。

 

続いて、「飛び下げはいつでも米に向かうべし、飛び上げならば米に従え」を取り上げます。

 

「飛び下げ」とは窓を空けて急落することで、逆に「飛び上げ」は窓を空けて急上昇することです。窓を空けるとは、ローソク足が前日のローソク足と重ならないほど、大きく下げた、あるいは上げた状態を指します。

 

この句の意味は、「窓を空けて急落するような相場では逆張りで買い向かうのがいいし、逆に、窓を空けて上昇しているなら順張りで買いを入れたほうがいい」という意味です。つまり、いずれにしろ買ったほうがいいということです。この句の意図するところは、大きく相場が動くときには常に買う方が有利であるということだと思います。

 

前半の大きく下げたときについては、売りたい人は大方売ったと見られることや、大きく下げたため空売りをしている人の買い戻しが入ると考えられることから、逆張り戦法で「買い」を選んだほうがいいということです。

 

一方、窓を空けて上昇するほど強い相場であれば、まだ上昇の勢いが続くと考えられるため、順張りで買ったほうがいいとしています。

 

第3回では「三空叩き込みに買い向かえ」という格言を紹介しています。三空の場合は、3回連続で窓を空けた状態ですが、今回は一度だけ窓を空けていると思えばよいでしょう。

 

ただし、「三空」とは異なり、一度窓を空けただけでは相場の転換になるとは限らず、同じ方向に進むことも多いため、「飛び下げはいつでも米に向かうべし」は必ずしも正解とは言えないかもしれません。また、窓を空けて下がるのは、何らかの悪材料が出たか全体相場が大きく崩れた場合がほとんどです。悪材料の内容によっては、さらに大きく売られる可能性があることも忘れてはいけません。

 

また、最近はデイトレードが盛んになり、少しでも利益が取れればすぐに手仕舞ってしまう超短期取引が増えたことから一概に買いが常に有利とは言えなくなってきています。

 

ここでは、窓を空けて急騰した例と急落した例を、それぞれひとつずつ紹介しています。

 

[図表1]楽天(4755)

 

 

[図表2]ファーストリテイリング(9983)

みんなが売り切ったときこそ「絶好の買い場」

最後は、直接ローソク足を説明しているわけではありませんが、ローソク足が目に浮かぶような句を取り上げます。

 

「分別も思案も要らぬ買旬は人の捨てたる米崩れなり」という句で、わかりやすくいえば「何も考えずに済む買いどきとは、皆が米を売り切ったところだ」となります。

 

「米を売り切った」とは、含み損がどれだけあってもとにかく売るしかない、というような投げ売りに近い状況でしょう。そして、そこまで売り物が出尽くしてしまえば、あとは難しいことを考えることなく買っていい、いわゆる「絶好の買い場」になるのです。

 

これをローソク足で考えてみましょう。じりじりと下げ続ける相場は、右肩下がりの陰線で表されます(間に陽線を挟むことはもちろんあります)。そして、これで最後とばかりに大量の売りが入って長い下ひげが出るのですが、もはや売り物がなくなり株価が戻り始め、最終的なローソク足は短い実体と長い下ひげで構成される「たくり足」になると考えられます。

 

特に陽線の「たくり足」が出来高を伴って出現したときは、一般的に「底値」と考えられるため、絶好の買い場だと言ってよいでしょう。

 

このように、ローソク足が表す意味を相場参加者の行動と共に考えると、より深くローソク足を理解することができ、買いタイミングを探る上でも大いに役立つと考えます。

 

「たくり足」が出現するチャートも頻繁に見かけますが、一例として2016年8月のJR西日本を取り上げます。

 

[図表3]JR西日本(9021)

 
「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術

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清水 洋介

幻冬舎メディアコンサルティング

「どうもうまくいかない」「なかなか儲からない」これこそ株式投資で誰もが必ず直面する問題……。 そんな悩みを解決すべく、時代を超えても通用する、先人たちの投資成功術をまとめた一冊。 どんな時代にも通用する「株式投…

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