2009年から2013年にかけて、世界のイスラム金融市場は毎年17.6%の成長率を見せ、2018年までは、毎年の成長率が平均して19.7%にも及ぶと予測されています。世界的に有名なメガバンクも相次いでイスラム教徒向けの窓口を設け始めている現状について、スリランカの記事からご紹介します。

IMFが「イスラム金融」に注目する理由とは?

イスラム金融は国際金融業界の中で、もっとも急成長を遂げている存在のひとつだ。2013年の終わりの時点で、イスラム金融業界の全資産額は1.8兆アメリカドルだと推測されている。イスラム金融の中心は中東で、取引の74%がここから生まれる。しかし残りの26%は中東以外で発生している。

 

イスラム金融への関心は世界的に広まっている。国際通貨基金(IMF)は、世界的なイスラム金融規制機関であるイスラム金融サービス委員会(IFSB)をマレーシアに設置する手助けをし、政策課題の設定や市場間での調整を促進するための外部諮問団体を設けた。2015年度の報告書で、IMFはイスラム金融がイスラム社会だけに留まらず、世界中で注目されるべき理由を3点挙げている。

 

第一に、十分な金融サービスを受けられていないイスラムの人々に対し、金融サービスへのアクセスを後押しする可能性を秘めている点。次に、資産を担保とする資金調達やリスクを共同負担するイスラム金融の手法は、中小企業によるプロジェクトと巨大な公共インフラプロジェクトのいずれも支援できる点。最後に、イスラム金融のリスクを共同負担する特徴や、投機を禁止する行動原則は、金融システムに内在するリスクを軽減させるという点である。

「誤解」もされがちなイスラム金融

イスラム金融の概念を理解している者はほとんどいないだろう。実際、多くの者は違う名前を付けているだけで、中身は従来の銀行と同じだと主張している。両者の一番の違いは、イスラム金融がイスラム法であるシャリーアに則っている点だ。しかし当初は、イスラム法学者がイスラム金融の話を持ち出すと、宗教の名のもとにお金を奪われて、返してもらえないのではと、イスラム教徒からさえ拒否されていたのだ。

 

実は、イスラム金融はイスラムの教えとはあまり関係はなく、ほぼ全てのイスラム金融の原理はシンプルな倫理観とイスラム以外でも通用する一般常識に基づいているのだが、このことはあまり理解されていない。

 

実際、世界的に見るとイスラム銀行は多数の非イスラム国でも普及している。イギリスにおけるイスラム人口は僅か4%だが、本格的なイスラム銀行は6つあり、イスラム金融教育のサービス提供者は80以上もある。2005年以来イギリスでは、イスラム銀行に多くの予算を割り当てている。タイでもイスラム人口は7%以下だが、国営のイスラム銀行が誕生している。

 

次回は、イスラムが禁じる金利についてご説明します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Demystifying Islamic Finance」を、翻訳・編集したものです。

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