スリランカではイスラム教徒は少数ですが、イスラム教徒の経済への影響力は小さくありません。また公共事業の分野にも、イスラム金融の活用の可能性がありそうです。イスラム金融についてスリランカの記事を元にしてお伝えしている連載の6回目です。

イスラム金融市場は、その8割が未開拓!?

スリランカにおけるイスラム銀行はこれまで、宗教的な信仰から従来の銀行を避けてきたイスラム教徒の人々を惹きつけようとしてきただけに思える。しかしイスラム金融の可能性はもっと大きいだろう。イスラム銀行のポテンシャルを考えると、もっと真剣に考慮されるべきだという説得力を持った理由がいくつかある。

 

イスラム教徒によるビジネスの大半は、家族経営を志向する中小企業で、株式を公開したくない人も多い。また地方のイスラム教徒によるコミュニティでは、およそ75%という大多数が、金利の高さやイスラム教の教えから従来の銀行の商品を使わない、あるいは、使うことに乗り気ではない。スリランカのHNB銀行イスラム部門のAlly氏は、イスラム銀行を介して、彼らを金融システムに取り込むことで、経済成長にも貢献できるだろうと話す。

 

Ally氏によれば、スリランカの人口のおよそ10%を占めるイスラム教徒によって、国のビジネスの約30%が回っているという。「数多くの銀行や金融機関が存在しますが、私の個人的な感覚では、市場全体の20%も獲得できていないのではないかと感じています。まだ80%も残っていますので、なかなか大きい市場ですよね」とAlly氏は言う。

公共事業投資にイスラム金融を活用できるか?

今日まで、政治家は国の発展に果たすイスラム金融の重要性を理解していなかった。スリランカでイスラム金融を普及するMubarak氏は、イスラム金融が特に公共事業の分野から経済に貢献すると信じている。

 

スリランカでは公共インフラのプロジェクトの多くは、高金利な海外からの融資で行われている。また、スリランカの国債利息もロンドン銀行間取引金利(LIBOR)より300ベーシスポイントも高い。その利息分を支払うだけで、毎年の国の税収の大半が消化されてしまう。「もしイスラム金融が採用する損得分配のメカニズムに基づいて資金を集められれば、巨大なインフラプロジェクトのために融資を受ける必要はなくなります」とMubarak氏は言う。

 

次回はイスラム金融が抱える理念と実践のギャップをお伝えします。
 

 

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Demystifying Islamic Finance」を、翻訳・編集したものです。

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