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親族外承継(M&A)・・・買い手との経営統合の進め方②

前回に引き続き、買い手との経営統合の進め方を説明します。今回は、業務プロセスの統合などについても見ていきましょう。※本連載では、島津会計税理士法人東京事務所長、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役で、公認会計士/税理士として活躍する岸田康雄氏が、中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方を説明します。

業務統合の検討は「現場に近い管理職」を交えて行う

前回の続きです。

 

(3)業務プロセスの統合

最後の課題が業務プロセスの統合である。業務統合がうまくいかないと、従業員個人の日常業務に支障をきたし、顧客にも迷惑を及ぼすおそれがある。業務統合の検討は、課長や係長など現場に近い管理職を巻き込んで行わなければならない。

 

業務統合の主たる目的は、業務効率化によるコスト削減効果である。統合会社間にて重複している業務で規模の経済が生まれる業務については、その効果が期待しやすい。特に、規模の経済はM&Aの効果として最もわかりやすいものであるため、確実に実現させたい。

 

ただし、重複業務を減らすことによって、人員削減が伴うケースがある。人員削減をともなうリストラや解雇を実施し続けると、従業員の士気を落とし、事業価値を毀損することにもなりかねないので、組織統合の作業と同様、会社内部における配置転換などを検討したい。

 

(4)情報システムの統合

情報システムの統合は、業務統合と密接に関連し、会社を動かす基盤となる領域である。システムが高度なものであればあるほど、その統合にかかる労力とコストは多大なものとなる。

 

情報システムの統合は、基本的に一本化である。異なる情報システム間で機能の比較を行い、高機能なシステムに一本化する。

 

ただし、情報システムの切替えは日常的な業務プロセスの変更を伴うため、従業員にとっては煩わしい作業が生じる。従業員へ丁寧に説明すべきであるが、業務プロセスの変更のために時間的な余裕がない場合は、その切替えのタイミングに注意すべきである。日常業務の混乱を避けるためには、一定期間は両方の情報システムを併用し、移行期間を数年設けた後に統合するという方法も考えられる。

事業を手放した先代経営者は「金融資産家」に

親族外承継(M&A)とは、第三者へ経営権を承継することであり、実務上ほとんどのケースは、非上場株式の売却によって会社の経営権を承継させている。株式の売却によって、企業オーナーは、その対価としての多額の現金を受領する。

 

したがって、非上場株式という資産が現金という資産に転換され、企業オーナーという立場から金融資産家という立場に転身する。

 

現金を受け取って金融資産家に転身した後、どのように相続対策を講じるかということである。金融資産を相続の対象とする場合、遺産分割対策と納税資金対策の観点からは全く問題はないが、相続税対策の観点からはゼロベースで対策を作らなければならない

 

つまり、他の資産と比較して金融資産は相続税評価が高いため、不動産などへの資産の組み換えを検討しなければならない。

 

[図表]企業オーナーにとっての親族外承継(M&A)の考え方

島津会計税理士法人東京事務所長
事業承継コンサルティング株式会社代表取締役 国際公認投資アナリスト/公認会計士/税理士/中小企業診断士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士

一橋大学大学院商学研究科修了(会計学及び経営学修士)。 国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)、公認会計士、税理士、中小企業診断士、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員。
中央青山監査法人(PricewaterhouseCoopers)にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門(不動産投資)、SMBC日興証券企業情報本部(中小企業オーナー向け事業承継コンサルティング業務)、みずほ証券グローバル投資銀行部門(M&Aアドバイザリー業務)に在籍し、中小企業オーナーの相続対策から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継と組織再編のアドバイスを行った。

WEBサイト https://jigyohikitsugi.com/

著者紹介

連載中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方

 

 

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