今回は、親族外承継(M&A)後の会社の経営体制の整え方を見ていきましょう。※本連載では、島津会計税理士法人東京事務所長、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役で、公認会計士/税理士として活躍する岸田康雄氏が、中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方を説明します。

経営の自主性を維持させるには?

買い手が想定する経営方針によって、取引実行後の経営体制や買い手が経営に関与する度合いが異なる。

 

第一に、対象会社の経営の自主性をできるだけ維持させたいと考える場合、子会社としての独立性を維持したうえで、買い手の経営への関与は限定的となる。

 

これは、対象会社を子会社として存続させ、許容できる限り経営の自主性を維持するという方針である。役員構成は買い手から若千名の役員を派遣するものの、代表者の変更も求めない。こうした経営体制は、対象会社の業績が良く、また買い手の営む事業と重ならない場合に採用される。

 

この方針に従えば、対象会社の従業員からの抵抗感は少ないというメリットがある反面、経営統合によるシナジー効果は発揮しにくい。

経営の梃入れを要するなら、買い手側の積極的関与も

第二に、子会社としての独立性は維持するものの、買い手として経営に積極的に関与していく方法がある。対象会社の代表者が買い手から派遣され、全体の役員構成も買い手から派遣される役員が過半を占めるなど、買い手が経営の支配権を握る。

 

こうした経営体制は、対象会社が買い手と同じ事業内容である場合や、業績悪化した対象会社の経営の梃入れが必要である場合に採用される。新しい経営陣のもとで、対象会社のビジネスモデルの変更や新しい経営資源の導入が推進される。

 

ただし、買い手の支配色が強まると、「乗っ取り」というイメージが強まり、優秀な人材の離職につながるため、慎重の対応が必要となる。

 

第三に、買い手の会社へ吸収合併する方法である。対象会社を買い手に吸収合併することによって、人事制度をはじめとする各種制度は、買い手の同じものが適用される。経営統合のスピードが速いため、シナジー効果の早期実現が可能になる。

 

しかし、統合作業にかかる現場の負担が大きく、従業員の離職など一時的な混乱を引き起こすおそれがあるため、外部の組織コンサルタントを活用した統合プロジェクトを実行するなど、全社的な取り組みが求められる。

 

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