海外の機関投資家が東証の値動きの方向を決めている!?
株式相場には、さまざまな投資家が参戦しています。その投資家の種類は、大きく次の2つに分類できます。
●個人投資家
●機関投資家
本連載をお読みになっているみなさんは、個人投資家です。何物にも属さず、自分のためだけに自分のお金を株に投じる人たちは、そのように呼ばれます。個人投資家は人数としては多いですが、東証全体の売買代金に占める個人投資家の割合は、せいぜい2割前後。多いときでも3割強にすぎません。
では、残りの相場参加者は誰かといえば、国内外の機関投資家です。機関投資家とは、保険会社や銀行、証券会社、年金基金、投資信託、ヘッジファンド(富裕層からお金を集めて運用する投資信託の一種)といった、ビジネスで投資をしている人たちを指しています。
機関投資家が動かしているのは、億から兆という単位の大口資金です。また、機関投資家は国内投資家よりも、海外投資家のほうが多く参加しています。東証における証券会社を通じた売買のうち、5〜6割は欧米やアジア諸国の外国人投資家が占めているのが現状です。
そのため、海外の機関投資家の動向こそが、東証の値動きの方向性を決めているといっても、過言ではないのです。
もっとも、機関投資家は動かす資金が大きいので、規模が小さい株が集まる新興市場には、あまり手を出しません。規模が小さく、知名度の低い株は、買う投資家が少なくなります。株を買おうとしても、売る人がいなければ取引は成立しませんから、機関投資家が大口資金を突っ込んでも、その株を買えるとは限りません。
どうにか買えたとしても、今度は売りたいとなったとき、買い手が集まらずに売れなくなってしまうリスクもあります(「流動性リスク」と呼びます)。
そのため、機関投資家は規模の小さい株を買わないのです。規模が小さく、有望な株を売買できるというのは、個人投資家の専売特許です。
うまく飛び乗れば瞬く間に利益を出せる「仕手株」
そのほか、覚えておきたいのが、「仕手筋」と呼ばれる人たちの存在です。仕手筋は、相場を知り尽くした一種のプロ集団です。機関投資家ほどではありませんが、一般の個人投資家よりは資金力があり、その資金力を武器として、一つの銘柄を短期間で一気に買ったり売ったりするのが特徴です。
短期間で大金を投じられれば、当然その銘柄の株価は暴騰します。すると、ほかの個人投資家もその値動きに注目して、買い注文を出してきます。そうしてどんどん株価をつり上げるように誘導し、もうここが天井というところまで上がったら、途端に今度はその株をジャンジャン売る――というのが、仕手筋の基本的な手口です。
つり上がったと思ったところで、急にハシゴを外されれば、他の投資家も慌てて売り始めますから、株価は暴落します。このようにして、上下に乱高下する極端な値動きが生まれます。仕手筋は大金を操ることで、思いどおりに株価を操作し、最大限に利ざやを拾っていくのです。
仕手筋の狙う銘柄は、「仕手株」と呼ばれます。初心者が迂闊に手を出すと、大やけどを負うリスクもありますが、うまく飛び乗れば瞬く間に利益を出せるので、私は買ってみてもよいと考えています。
機関投資家、仕手筋は、相場を知り尽くしたプロ中のプロです。言い方は悪いですが、彼らの中には、大半の個人投資家を「いいカモ」だと思っている人も、少なくありません。
確かに、場数や知識、情報の質・量において、個人が機関投資家に勝つことは難しいでしょう。いいカモになってしまわないためには、機関投資家や仕手筋がつくり出す株価のうねりに飛び乗って、逆に利用していくことが重要です。