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親族外承継(M&A)の実施・・・資本業務提携という選択肢は?

今回は、親族外承継(M&A)における選択肢としての「資本業務提携」について見ていきます。※本連載では、島津会計税理士法人東京事務所長、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役で、公認会計士/税理士として活躍する岸田康雄氏が、中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方を説明します。

「支配権の全部」を手放す取引が望ましいが…

株式の継続保有を伴う親族外承継(M&A)の方法として、株式の段階的売却のケースがある。親族外承継(M&A)は株式100%譲渡のように支配権の全部を手放してしまう取引が望ましい。

 

しかし、いきなり「会社を全部買ってくれませんか?」と買い手候補に提案した場合、そこで買い手の腰が引けてしまうおそれがある。交渉に入ることができなければ、それで話しは終わってしまう。100%買収の場合、投資に伴うリスクが大きいことから、かなりの覚悟を持って条件交渉を行うためである。

 

そこで、まずは買い手候補に対して「一部出資してほしい」という、資本業務提携の提案が行う。資本業務提携とは、一部出資を伴う提携関係のことをいう。将来の完全売却への発展を意図する場合もあれば、結果的に対等な立場での経営統合する場合もある。

買い手にとってのリスクを軽減できる「資本業務提携」

資本業務提携のメリットは、買い手側にとっては、買収に失敗したときの損失負担を抑えることができる点にある。もちろん、対象会社の業績が向上すれば、後から追加取得する株式価値が上がることになり、全体の投資額は大きくなるが、リスクが小さくなっている状況であれば問題ない。

 

これに対して、売り手側にすれば、株式の一部売却できることに加えて、買い手との業務提携の結果として生じるシナジー効果を享受することができる。

 

このように資本業務提携は、業務提携に比べ、買い手側も売り手側も提携関係を有効に活用しようというインセンティブが働くため、株式価値の増大を実現しやすいというメリットがある。

 

出資比率は、買い手が将来の買収を意図する場合は、最低でも持分法適用会社となる20%以上、できれば株主総会で拒否権を発動できる34%以上の株式が譲渡されるケースが多い。もちろん、いきなり過半数50%超が譲渡されるケースもあるが、これは100%売却のケースと実質的な違いはない。

 

資本業務提携によって、売り手は対象会社の株式を継続保有することとなる。売り手は株式価値が高まった後に買い手に対して株式を売却することを予定する。最終的に株式を売却する方法(プット・オプションまたはコール・オプション、タイミング、価格の算定方法)については株主間契約において決められることになる。

島津会計税理士法人東京事務所長
事業承継コンサルティング株式会社代表取締役 公認会計士/税理士

一橋大学大学院商学研究科修了(会計学及び経営学修士)。 公認会計士、税理士、中小企業診断士、国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)。日本公認会計士協会経営研究調査会「事業承継専門部会」委員。
中央青山監査法人(PricewaterhouseCoopers)にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門(不動産投資)、SMBC日興証券企業情報本部(中小企業オーナー向け事業承継コンサルティング業務)、みずほ証券グローバル投資銀行部門(M&Aアドバイザリー業務)に在籍し、中小企業オーナーの相続対策から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継と組織再編のアドバイスを行った。

WEBサイト https://jigyohikitsugi.com/

著者紹介

連載中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方

 

 

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