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ROE(Return on Equity)=「株主資本利益率」
1.ROEとは何か?
いい会社を選ぶ基準その5は、「持続可能な高ROEとそれに見合う利益成長があること」です。
そもそもROEとは何でしょうか。連載第3回でも多少触れましたが、ROEとはReturn on Equityの略であり、日本語で「株主資本利益率」を意味します。
計算方法は、「ROE=純利益÷株主資本(≒自己資本)」となりますが、要は、この数値を見ることで「企業が、株主資本を用いていかに効率的に稼いでいるか」がわかるということです。
同様に、毎年の利益によって株主資本が積み上がるスピードを表しているとも言えます。一般的に、日本企業はROEが低く、平均で8%程度ですが、欧州では12%程度、米国では15%を超える傾向にあります。
ROE50%のコカ・コーラ社に投資したバフェット氏
2.バフェット氏がコカ・コーラ社に投資した理由
高ROEを実現すること自体も難しいのですが、同時に考えるべきは、「そのROEが持続可能なものかどうか」ということです。
例えば、ウォーレン・バフェット氏が投資したことでも知られるコカ・コーラ社。バフェット氏と言えばバリュー投資(企業の利益や資産などに対して、株価が割安な企業に投資する手法)で有名ですが、実はその時のコカ・コーラ社の株は、決して割安ではありませんでした。
ちなみに、株価の割安・割高を示す指標としてはPBR(Price Book-value Ratio)が使われます。株価が1株当たり純資産の何倍まで購入されているか、すなわち1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度ですが、バフェット氏がコカ・コーラ社に投資した当初、同社のPBRは5倍程度と、市場の基準値と照らし合わせても、そこまで割安ではなかったのです。
では、なぜバフェット氏は同社を投資対象として選んだのか。
それは、当時の同社ROEが50%と、市場の中でも極めて高かったからに他なりません。ROE50%ということは、会社の純資産の価値が毎年50%ずつ増えていくことを意味しています。
バフェット氏は、さらにここで、コカ・コーラ社の製品の固有性やブランドの高さ、また、財務体質の盤石さを前提に、「同社の高ROEは持続可能なものだ」と判断し投資したというわけです。
高ROEが「健全な理由から生じているか」もポイント
3.表面上だけでROEを見ないことも重要
前述の計算式からもわかる通り、ROEを高くするには、一株当たりの利益を高めることが必要になります。ただ計算上は、一株当たりの株主資本を小さくすれば、おのずとROEが高くなっていきます。計算式上の分母が小さくなるため、当然といえば当然でしょう。
ですが、一株当たりの株主資本が極端に小さい企業は、負債額との比率で、過小資本となります。あまりにも過小資本だと、何かの拍子に利益が吹き飛んでしまい、生じた損失が経営にクリティカルに影響するということもあります。
健全に高ROEを維持することは簡単ではありません。出した利益は資本に蓄積されていくため、計算上は分母が大きくなり、利益の伸び率が以前よりも低ければ、ROEは低くなってしまいます。ビジネス上の工夫をし続けられる企業だけが、ROEを高い水準で維持することができるのです。
投資家としては、表面上のROEが「高いか」「低いか」だけに留まらず、その高ROEが健全な理由から生じているか、そしてそれは持続可能なものかをしっかりと確認する必要があるのです。
次回は、「景気に左右されない潤沢なキャッシュフロー」に関してご説明します。
※上記の企業名はあくまでもご参考であり特定の有価証券等の取引を勧誘しているものではございません。
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