今回は、親族外事業承継の「買い手候補」にアプローチする2つの方法を見ていきましょう。※本連載では、島津会計税理士法人東京事務所長、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役で、公認会計士/税理士として活躍する岸田康雄氏が、中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方を説明します。

社長からのアプローチ or 金融機関を通じたアプローチ

M&Aアドバイザーとも相談し、買収を前向きに検討してくれそうな買い手候補を何社かリスト・アップできたとしよう。買い手候補の絞り込みが終われば、次は買い手候補に実際にアプローチする段階となる。

 

初期的な買収提案を行う方法として、(1)自社の経営者(社長)からのアプローチと、(2)金融機関を通じたアプローチの2つがある。

 

[図表1]買い手候補に対するアプローチ

 

基本は、オーナー経営者が自ら行うアプローチである。アプローチを受けた買い手候補の社長は、買収という重大な相談であれば、どこの会社であっても真摯に対応するはずである。

情報開示で不利益が生じる同業者等は排除しておく

もう一つは、銀行など金融機関を通じたアプローチである。既存の取引関係があるならば、銀行の営業担当者は、容易に改定候補の社長に会うことができるだろう。銀行の情報力を活用できれば、短期間で買収提案を持ち込むことが可能である。

 

[図表2]銀行の情報力の活用を

 

ただし、対象会社の経営陣など関係者の意見を勘案し、情報開示によって不利益が生じるような同業者にはアプローチを控えたり、事業拡大意欲が乏しいと想定される会社を排除したりすることによって、買い手候補を絞り込む必要がある。すなわち、買収可能性の高い買い手候補を数社に絞り込んで買収提案を持ち込むのである。

 

[図表3]買い手候補の絞り込み

 

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