AIが有望企業を判別・・・ビッグデータ解析ベンチャー企業の事例

前回は、AIを活用した株価分析の実例を取り上げました。今回は、ビッグデータ解析ベンチャー企業の事例を見ていきます。

「衛星画像」の解析データから、企業の将来性を測定

株などの長期的な運用では、企業情報の収集と分析が重要になります。

 

アメリカのオービタル・インサイトは、2015年に900万ドル、2016年には2000万ドルもの投資を受けた、シリコンバレーで注目されているビッグデータ解析ベンチャー企業です。創業者でCEOのジェームス・クロフォードは、過去にグーグルやNASAにも在籍したことがあるAIのエキスパートです。

 

オービタル・インサイトの持つ技術は、機械学習による画像解析です。人工衛星やドローンで撮影した写真をもとに、AIが場所と物体を認識してデータ化し、そのデータを分析してさまざまな予測をします。

 

例えば、スーパーの駐車場に停まっているクルマの数からその店の売上予測をしたり、農場の写真から収穫量の予測をしたりします。

 

驚くべき事例もあります。中国の石油の貯蔵量に関しては信頼できるデータがなかったのですが、2016年にオービタル・インサイトは衛星写真から中国各地のタンクの貯蔵量を計算し、中国の総石油貯蔵量を推定しました。この測定結果が世界の経済予測にもたらす影響はかなり大きいでしょう。

 

数枚の写真を見てなんらかの予測をすることは人間にも可能です。しかし、何百何千もの写真から必要な情報を洗い出し、それを基に分析するのは人間の手には負えません。無理にやったとしても、時間がかかるうえに精度も悪いと考えられます。

 

人間の経験と勘で有望企業を探し出し、まだ株価の低いうちに買って、長期的に値上がりを待つといったようなことも、AIに取って代わられつつあるわけです。

 

近年、テキストデータ解析はAIに任せる方向に

情報収集のAI活用について見てきました。ここでまとめておきましょう。

 

①文字情報や画像情報も重要

 

クオンツ運用においては数値データが重要なのはもちろん、より精密な投資判断のためには文字や画像などの情報も重要になります。

 

②テキストデータ解析が人間の手に負えなくなった

 

もともとテキストデータの解析は人間の仕事でしたが、最近では扱うデータ量が膨大になったため人間の手に負えなくなりました。一方、AIの技術はテキストデータ解析ができるまでに進歩したので、近年はテキストデータ解析をAIに任せる方向に進んでいます。

 

③大量の画像データを解析して、企業の将来性を測定

 

何百、何千枚の衛星写真から物体を認識してデータ化し、企業の将来性を測定することがAIには可能です。

 

本連載は、2017年12月18日刊行の書籍『AI化する銀行』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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株式会社オメガ・パートナーズ 代表取締役社長

東北大学大学院理学研究科数学専攻修了、京都大学MBA(金融工学コース)修了。
大学院修了後、富士通株式会社に入社。
金融システム・エンジニアとして、銀行勘定系システム開発プロジェクト、および証券取引システム開発プロジェクトに参画。
その後、みずほフィナンシャルグループのクオンツ・アナリストに転身し、デリバティブ・ビジネスやリスク管理業務に従事。
株式会社Sound-Fの金融工学部門のマネージャーを経て2015年から現職。
近年では高度市場系金融システム開発プロジェクトへの参画や、金融業務向け人工知能開発、
ブロックチェーンを活用したインフラ構築ビジネスに従事している。

著者紹介

AI化する銀行

AI化する銀行

幻冬舎メディアコンサルティング

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