今回は、「婚約」「婚姻」の成立条件について見ていきます。※本連載は、法律の研究者・執筆者として活躍する尾崎哲夫氏の著書、『はじめての親族相続』(自由国民社)の中から一部を抜粋し、そもそも親族とは何なのか、「親族の範囲」「婚姻」などについて分かりやすく説明します。

民法には婚約に関する条文はないが・・・

婚約は婚姻の予約です。婚姻をしようという男女の合意だけで成立します。

 

婚約披露宴や結納は、婚約の成立要因ではありません。婚約を不当に破棄すると、次の責任が生じます。

 

[図表1]婚約の責任

 

●婚姻の成立

婚姻は、結婚の意思を持つ男女が婚姻届を出すことによって成立します(739条1項)。

 

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第739条[婚姻の届出]

婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。

婚姻の「6つの実質的要件」とは?

婚姻には6つの実質的要件が必要です。要件が欠ければ無効・取消の問題が発生します。

 

6つの実質的要件は次の通りです。

 

[図表2]婚姻の6つの実質的要件

 

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第742条[婚姻の無効]

婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。

一 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。

二 当事者が婚姻の届出をしないとき。

 

第731条[婚姻適齢]

男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。

 

第732条[重婚の禁止]

配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

 

第733条[再婚禁止期間]

女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。

②前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合

二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

 

第734条[近親者間の婚姻の禁止]

直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。

 

第735条[直系姻族間の婚姻の禁止]

直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第七百二十八条又は第八百十七条の九の規定により姻族関係が終了した後も、同様とする。

 

第736条[養親子等の間の婚姻の禁止]

養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第七百二十九条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。

 

第737条[未成年者の婚姻についての父母の同意]

未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。

 

上の図表2の④の詳しい説明をしましょう。優生学上の理由と道徳上の理由から、民法は次のような親族者の間での婚姻を禁じています。

 

[図表3]親族者の間での婚姻の禁止

はじめての親族相続

はじめての親族相続

尾崎 哲夫

自由国民社

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