今回は、婚姻の「取消し」について見ていきます。※本連載は、法律の研究者・執筆者として活躍する尾崎哲夫氏の著書、『はじめての親族相続』(自由国民社)の中から一部を抜粋し、そもそも親族とは何なのか、「親族の範囲」「婚姻」などについて分かりやすく説明します。

男女の間に婚姻の意思がないときなどは「無効」に

男女の間に婚姻の意思がないときや、届出をしていないときは婚姻は無効です(742条)。

詐欺・強迫による婚姻など、条件によっては取り消せる

詐欺・強迫による婚姻は取り消せます(747条)。この場合も婚姻成立後3ケ月経ってしまった場合や、追認してしまった場合は取り消せません。

 

婚姻適齢に達していないのに婚姻をしてしまった場合は取り消すことができます(745条)。しかし、婚姻適齢に達してから3ケ月経過するか、その3ケ月以内に追認すれば取り消せません。

 

再婚禁止期間内の結婚でも前婚の解消から100日経ったり、出産した場合には取り消せません(746条)。

 

重婚の前婚が離婚になった場合も取り消せません。

 

 

婚姻の取消権者は当事者・親族・検察官です。重婚・待婚期間内結婚の場合は前婚配偶者も取消権者です。詐欺・強迫の場合は当事者だけが取消権者です。婚姻の取消の効果は、将来に向かってのみ生じます(748条1項)。離婚の効果と似ていますので、離婚の規定にならって同じ扱いをします(749条)。

 

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第748条[婚姻の取消しの効力]

婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。

 

第749条[離婚の規定の準用]

第七百二十八条第一項、第七百六十六条から第七百六十九条まで、第七百九十条第一項ただし書並びに第八百十九条第二項、第三項、第五項及び第六項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。

はじめての親族相続

はじめての親族相続

尾崎 哲夫

自由国民社

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