第三者機関から地道に情報を集める⁉
地味ながら業績のよい会社の上場は手堅いですが、IPOの醍醐味はやはり比較的短期で上がりやすい「フレッシュな株」を探し当てることです。WASHハウスのように他と比較されにくく、評価の上乗せが期待できます。
フレッシュな株を選ぶ際に重視するのは、「成功のストーリーを描けているかどうか」という点です。公募の際に公開される資料や、東京証券取引所のホームページで発表される社長インタビュー、メディアなどの第三者機関から地道に情報を集めていきます。
2015年9月に上場したTOKYOBASE〈3415〉の例を挙げます。
アパレル会社の中でも、インターネットとリアル店舗を融合した業態で急成長しています。
上場半年後の2016年4月に880円で購入し、現在は5,000円台。17万円で買った株が、1年3ヶ月で100万円以上になったのです。この会社では、リアル店舗にきた顧客をネットに誘導し、そこで販売員とやりとりします。
インターネットならいつでも好きなときに買え、時間も交通費もかかりません。販売員はリアル店舗にいるので、サイズ感もわかります。ネットだけでなく、リアル店舗も持っているため、顧客も実物を見る感覚で買い物ができる。それが急成長の要因です。成長したネット企業の代表格といえます。
実はこの会社をタイミングよく買えたのには理由があります。上場したばかりのころは、半期の利益が予想の3割程度だったため、徐々に株価は下がっていきました。ただその期間は単価の低い春夏ものが売れる時期だったため、ある意味予想どおりの進捗だったといえます。同社に取材したところ、春夏と秋冬の売り上げは3対7くらいの割合だということでした。結果的にその後大きく伸び、800円だった株価が5,000円になったというわけです。実際に利益も4倍くらいになっています。
[図表]TOKYO BASE<3415>
ゾゾタウン(スタートトゥデイ)〈3092〉もネットとリアルの融合で成長したアパレル会社のいい例です。今では他社に容易に参入させない確固たるブランドを築いています。株価は10年前の上場時に買っていれば30倍になっています。
本当に手堅い会社の株価は上がるが、PREは落ち着く
チャンスを逃さないためには、業績以外の点にあまりこだわりすぎないことです。
割安性を判断するファンダメンタルズ分析の指標に、PER(株価収益率)があります。純利益を株価で割った数字で、おおざっぱに考えると投資を回収するのにかかる年数といえます。よく15倍以下が割安として買いの判断基準にされるのですが、成長株、特にIPOについては、何十倍ということがあります。
実際にグレイステクノロジーやWASHハウスは百数十倍にまでなっています。本当に手堅い会社であれば、利益があとからついてくるため、株価は上がっているけれどPREは落ち着くということになります。
他にも鍵となる、銘柄選定や利益確定についての多くの考え方は、次回から紹介する中長期の成長株投資と共通します。