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CCC、サントリー等の例に見る「親子逆転上場」の狙いとは?

今回は、CCCやサントリーなど一部の企業で見られる「親子逆転上場」について見ていきます。※本連載では、事業承継の選択肢のひとつとして、M&Aの基礎知識を紹介します。

親会社は非上場でありながら、子会社は上場企業

昨日、ファン向けビジネスを運営するSKIYAKIが東京証券取引所マザーズへの新規上場承認されました。今回は、SKIYAKIの新規上場に焦点を当てるのではなく、親会社が非上場で子会社が上場企業であるという珍しい「親子逆転上場」というトピックについて見てみます。

 

SKIYAKIの主要株主

 

SKIYAKIの親会社はTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下CCC)です。株式を50.21%保有しています。親会社のCCCが非上場企業で、子会社のSKIYAKIが上場企業という形になっています。

 

非上場企業のCCC

 

CCCは2000年に東証マザーズに上場し、2011年7月に創業者の増田氏のMBOによって上場廃止しました。理由としては、上場していると株主に対して利益成長を約束する必要があり、企画会社としてリスクが取れなくなってきたからと答えています。実際、その年の12月に社会実験的な事業である「代官山蔦屋書店」をオープンしています。ちなみに、その後も子会社で当時ジャスダック上場のwebサイト構築最大手企業であるIMJをMBOによって2013年上場廃止するなど非上場主義を取っています。

「創業者による経営維持」などのメリットはあるが…

親子逆転上場の狙い-サントリーのケース

 

親子逆転上場のメリットは、「創業者経営の保全」・「非上場ならではの自由な意思決定の担保と上場企業ならではの機動力のある財務戦略のハイブリット」の2点なのではないかと思います。分かりづらいと思うので、具体的なケースを見てみましょう。

 

親子逆転上場では、サントリー子会社のサントリー食品インターナショナルのケースがあります。サントリーの場合、元々創業者一族で経営を維持したい、非上場によってより強気な投資を仕掛けていきたいということで非上場を貫いてきました。例えば、サントリーのビール事業は黒字化するまで46年の年月がかかり、2008年にやっと黒字化していますが、上場しているとそんなことは許されません。

 

そんなサントリーが親子逆転上場をした理由としては、過去の海外企業のM&A等により有利子負債が1.8兆円となり、その返済の手段として、子会社の上場を選択したと言われています。このサントリー食品の上場により、サントリーグループは約3900億円の資金を調達しました。また、上場子会社を主導に機動的な資金調達を行い、M&Aを進めていきたいとしています。国内飲料市場は縮小傾向にあり、海外のM&Aが非常に重要な環境になっているからです。

 

ちなみに、キリンとの経営統合が失敗したことも親子逆上場を進める要因になったのではないかと思います。実現すれば世界第5位の総合食品・酒類カンパニーとなる予定でした。

 

親子逆転上場の現状

 

サントリーのように、「親会社は非上場で、子会社が上場」というケースは東証全体の約1%、わずか24件に過ぎません(2013年7月時点)。しかも大半は時価総額が100億円未満で、サントリーのような大企業は極めてまれです。ちなみに、親子逆転上場のハードルは一般的に高いとされ、非上場の親会社等に利益が移転されたり、裏口上場として悪用される可能性があるため、取引条件の整備・運用が必要となります。コーポレートガバナンスからすると、少数株主の利益に悪影響がある可能性があります。

 

サントリーグループの会社貸付金制度(グループファイナンス)を定めており、現状サントリーホールディングスにある借入金を27年までに外部借入に切り替えるとしています。ちなみに、金利は、サントリーホールディングスが外部借入れした際の平均金利に事務手数料と加えた額としています。

 

CCCの狙い

 

CCCも、子会社・関連会社を含めると100社を超えており、M&Aや資本提携にかなり積極的な会社です。元々上場していたフォトクリエイトをTOBして子会社化したり、出前館で知られる夢の街想像委員会も元々持分法適用会社でした。今回の親子逆上場が意図的なものなら、SKIYAKIを通じて資金調達やM&Aを積極的に仕掛けていくのではないでしょうか? IPO時の売り出しで第4位の株主であるアミューズは全株を売り出していますが、CCCは売り出しに参加していません。これからのCCCとSKIYAKIの動きに要注目ですね。

 

ライター:及川厚博(M&Aクラウド代表取締役COO)

東洋大学在学中、教育系SNSを運営するMacropus株式会社を立ち上げる。その後facebookページの作成事業、インドネシアを中心としたオフショア受託開発事業を展開し、4年で経常利益数千万円まで成長させ、同業他社にバイアウト。学生時代は公認会計士を目指し、日商簿記検定1級取得。M&Aクラウドではアドバイザリーとしてもメディア事業のM&Aを3件手がけた。

M&Aクラウドは、EXIT経験のあるメンバーが立ち上げた中小・ベンチャー企業向けのM&Aマッチングプラットフォームを運営するスタートアップ企業。
中小ベンチャーM&Aマッチングプラットフォーム「M&ACloud」を提供。

写真は、代表取締役CEOの前川拓也氏。

著者紹介

連載事業承継の悩みを解決する「M&A」の基礎知識

本連載は、株式会社M&Aクラウドのサイト『M&A to Z』(https://media.macloud.jp)から転載したものです。

 

 

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