着手金を取らない、完全成功報酬型の業者が増えている
2000年代の仲介業者にとって着手金を取るのは当たり前のことでしたが、近年では大手仲介業者との差別化をはかり、着手金を取らない完全成功報酬型の業者が増えています。果たして着手金を取らない業者は良いのか? 悪いのか? 業界の裏側を説明していきたいと思います。
着手金とはなにか?
M&Aにおける着手金とは、最適な相手先を探し、調査することや企業価値の算定にかかる必要コストという位置づけが多いです。着手金の相場は、50万円~200万円程度で、仲介業者にアドバイザリー契約(業務委託契約のような位置づけ)をお願いする際に先払いで支払うものになります。つまり、M&A成約に至らなかったとしても依頼主に経済的負担が発生してしまうということです。
着手金を取る仲介業者は良い業者なのか?
上記の通り着手金は買い手先を探し、調査するための費用なので、仲介業者は着手金を受け取った以上、しっかりと買い手先紹介してくれるのが通常です。また、依頼主も先にお金を支払っている以上、途中でM&Aを諦めてしまうということが少なくなります。結果としてM&A成約の確率が上がる傾向にあります。
着手金を取る仲介業者は悪い業者なのか?
中には悪質な仲介業者も存在しており、着手金をとったが買い手を一度も紹介してくれなかったという事例は少なくありません。売り手の条件によっては紹介できないケースはありますが、売り上げが一億未満、赤字経営、莫大な借金がある会社に対して、買い手先を見つけられないリスクを十分に説明せずに着手金を取ろうとする仲介業者には気をつけた方が賢明です。
経済的負担が少ない一方、後回しにされるなどの問題も
着手金をとらない仲介業者のメリット
着手金がかからないので気軽に仲介業者に相談できますし、依頼主の経済的負担がありません。
着手金をとらない仲介業者のデメリット
たいていの仲介業者は着手金をとらなくてもしっかりと買い手を紹介してくれますが、中にはお金を支払っていないので後回しにされてしまう事例は少なくありません。
また完全成功報酬の場合、なんとしても早くM&Aを成立させて成功報酬を得ようと、顧客に有益でないM&Aを進めてしまう可能性があります。悪質な場合は相手先の問題点を隠す場合もあり、そのためM&Aが成立してから「こんなはずじゃなかった」と後悔することになります。
ちなみに、どの会社も喉から手が出るほど欲しいという会社ではないのにも関わらず着手金を取らないケースでは、いつまで経ってもM&Aが進まないということもあります。M&A業者からすると売り手の情報を持っていると、新しい買い手を開拓する材料にもなるので、片手間で良い買い手がいたら紹介すればいいやという位置づけで着手金を取らずにアドバイザリー契約を結ぶ業者も存在します。そういうケースではアドバイザリー契約の段階では専業契約(この業者からしか買い手の紹介を受けませんという契約)を結ばないことが賢明です。