売却することで、株主に大金が入る
会社を売ると、実際に自分の生活がどうなるか気になる方も多いかと思います。会社売却後に起きたという良いケース悪いケースとともに売却のメリット・デメリットをご紹介します。
会社を売却するメリット
1.株主に大金が入る
大金が入ることが、一番分かりやすいメリットではないでしょうか? 中小企業でいえば、社長自身が100%保有しているケースが多いので、例えば300万円で30年前作った会社が、当期純利益で1億円出ているような会社になっていれば、ざっくり5億円程度で売れるかもしれません。(もちろん業種やビジネスモデルなどで、価格は変わります) その場合、社長自身に5億円が入ります。税金も(5億-300万円)×20%かかるので、手取りで4億円程度が手に入ると言えるでしょう。
ベンチャーでいえば、ベンチャーキャピタルや従業員や役員に株やストックオプションを渡していることが多いので、自分だけではなくお世話になった方達にもお金がが入ります。
ちなみに、エンジェル税制を使うことで、投資した分の金額を課税対象の売却益に対して減算することができます。エンジェル税制の適用要件は、複雑なので専門家に依頼するのがオススメです。
2.賞賛される
会社を売却することは、ライブドアや村上ファンドのイメージで悪い印象が、日本ではまだ残っています。しかし、本来会社を売却するということは、社会にとっていい影響を与えることです。ベンチャーであれば、イノベーションの一助に。中小企業であれば雇用と伝統を次代に引き継げるなど良いことが多いのです。実際に、ベンチャーの世界では会社を売却した経営者は成功者として、エンジェル投資家になったり、また新しいビジネスを立ち上げるシリアルアントレプレナーとして讃えられるようになります。国としても事業承継の推進を行っています。
3.連帯保証から解放される
中小企業の経営者の大きな悩みの一つが連帯保証かと思います。連帯保証がネックで、息子に継がせづらい。幹部や外部人材に継がせづらいという事実があります。会社を上場企業に売却することができれば、ほぼ確実に連帯保証が外れますし、未上場企業が買い手であったとしても買い手が引き継ぐのが一般的です。
4.休みができる
会社を売却すると、日々の仕事から解放され、時間ができます。今までないがしろにしてきた家族との時間も取れるようになりますし、好きな趣味にも没頭できます。農家を始めたりする経営者も多いようです。
5.事業承継ができる
自身が高齢の場合で、後継者がいない場合、このまま清算してしまうと社員の雇用や取引先に迷惑がかかることになるということで、売却を検討される場合が多いです。上場企業に買われることで、社内が安心するという事例もありますが、一番は社長の想いを引き継いでくれる会社に売却を検討すべきです。中には、買った後に、社風に合わないということで社員のほとんどを解雇するケースも残念ながらあります。何を重視して売却をするかしっかりすり合わせる必要があると言えるでしょう。
6.売却先とのシナジーで会社が更に成長する
売却先と事業上のシナジーや資金力などと化学反応が起き、更に会社が成長することがあります。製品に自信はあるけれど営業が苦手という会社が営業力・組織力に自信がある会社に買われた場合、製品開発だけに集中できるというメリットもあります。そうすれば社員の給与も上がったりするので、自分の力だけで伸ばす限界が見えてきたら売却も検討する価値があるでしょう。
一定期間、売却した事業領域に携われなくなることも
会社を売却するデメリット
1.拘束が発生する
契約にもよりますが、子会社の社長として数年間の勤務を約束しなければいけないケースもあれば、顧問として1年間関わるということもあります。一般的にロックアップと言われるのがこのことです。ロックアップは買収先との交渉によって決まります。売却してすぐ別の事業をやりたいという場合は、金額を減らしてでも拘束をなくすことを交渉していくケースがあります。
2.非難・寂しさ
実際に売却をした経営者に話を聞くと、今までは領収書を自分の会社の名前で切っていたり、社長と呼ばれていたのに呼ばれなくなるなどが、寂しいという声を聞きます。また、伝統ある会社を外資系に売ってしまった経営者が非難されることも残念ながらあるみたいです。売却後会社がおかしくなって、元社員等から非難されるケースもあります。ちなみに、寂しさを気にされた社長は、自分が本当に引退するまで会長職の名前をもらって好きな時に出社でき、給与0円という方法で売却された方もいます。
3.売却後、事業領域が制限される
会社を売却した後、自分が一定期間、売却した事業領域に携われなくなります。これを競業避止義務と言います。感覚的には売却後2~3年が一般的ですが、5年で交渉してくる買い手もいます。また、携わり方も起業、役員、従業員、株主、顧問などどのレベルで携わってはいけないかも契約の交渉で決まります。