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会社売却 or 事業売却…より高く売れるのはどっち?

今回は、会社売却と事業売却では、どちらがより高く売却できるのかを見ていきます。※本連載では、事業承継の選択肢のひとつとして、M&Aの基礎知識を紹介します。

高く売れるのは、人もセットの「会社売却」

会社(株式)の売却と事業売却で、異なるのは税金の額だけではありません。売却額そのものも大きく影響することがあります。高く売るための方法論を知っておきましょう。

 

一般的には会社の方が高く売れる

理由は、会社の売却は人が移動することが一般的です。事業売却では、人が移動することはないことが多く、価格に大きく影響します。いかに、人がいなくても運用できる体制があると伝えても、買い手の心理としては不安に思うのが実情です。

 

実際に、サイト売却では数百万~数千万・営業利益/月×12~20ヶ月が多いですが、正社員の移動するM&Aでは売却額が、10倍以上変わることもあります。人に一切依存しないようなお金だけ投資すれば収益が出るようなビジネスモデルであれば、事業売却でも価格が落ちづらくなりますが、そんなビジネスモデルは中々ないので、多くの場合、人もセットの会社売却の方が高く売れます。

 

※事業売却でも、退職・入社手続きを踏み売却すれば人も移動させることができます。しかし、事業売却を選択する経営者は、人の移動を望んでいないので事業売却をするケースが多く、あまり見られる事例ではありません。また、他事業を兼務している人を移動させるか悩むケースが多いとのことです。

 

事業売却は、人件費を把握できていないケースが多い

事業売却をする場合、よほどしっかりした会社でない限り、売却事業の損益計算書を作成している会社はほぼありません。多くの場合は、売上推移や会員やPVといったKPIの伸び、粗利くらいまでしか出せていません。

 

人件費は社内で兼務して行われていることが多く、経常利益まで算出するのが難しい状態になっています。そのため、大きな会社ではホールディングカンパニーを作り、事業毎に子会社を作ることが多いのです。そうすることで財務状況が見える化され売却しやすい状況を作ることができるのです。将来的に売却を考える事業を作る場合は、子会社化しておくのも手の一つだと覚えておくといいかもしれません。いずれにせよ、売却時には人件費も仮でいいので算出しましょう。

 

会社売却の方が圧倒的に高く値がつきやすいケース

 

1.人の数で売上が伸びる

営業会社や、web制作会社のような業態は、人の数で売上が成長します。そういうビジネスモデルの場合、人もセットで買収をしたいと思うのが買い手企業の思うところです。具体的には、Webメディア・求人サイト・ポータルサイトといったIT系のビジネスや、飲食店、調剤薬局、病院といった店舗型ビジネスが当てはまります。

 

事業売却の場合、運営ノウハウのある同業他社であれば事業売却でもうまく売却できるケースもありますが、いずれにせよ価格には影響すると言えるでしょう。

 

2.属人性が高い業態

コンサルティングや建設・内装業等職人的なスキルが求められる業態では、人もセットで移動しなければそもそも売却のテーブルにすら乗らないことが多いです。

 

3.採用が難しい業態

採用が難しいと言われる、エンジニア、税理士会計士、薬剤師、看護師、医師といった採用が難しい業態で言えば、買収はそもそも採用狙いであることも多く、人の移動があるかないかでは大きく価格に影響します。

 

会社売却の場合キーマンを説得しておく

会社売却の前後では、人が辞めることが多いです。その人がキーマンだと売却価格に大きく影響してしまいます。売却がある程度見えたタイミングで、キーマンに賞与や株を渡すなどして説得する必要があります。

 

社長を含めたキーマンが一定の期間以上勤務することを約束する契約のことをロックアップと言います。ロックアップ条項は個別個別で決めるとができ、半年〜3年が一般的と言えるでしょう。この取り決めによって金額が大きく変わります。

 

実際にあったケースでは、売却後、すぐに別のことをしたい想いがあった経営者は2年のロックアップを飲めば4.5億円で売却できたところを断り、1.7億円で売却したという事例もあるくらいです。

事業売却でも、圧倒的シェア等があれば高く売れる

事業売却の場合も引き継ぎ契約は必須

事業売却の場合、売却後に数ヶ月〜1年間顧問等で、関わることが一般的です。また運営のみ売却元企業が受託で請けて徐々に移行するというケースもあります。運営によって売上がかなり上下するリスクがあると買収企業が判断した場合、買収金額を固定で契約締結後支払い、1年後成果報酬の分支払いといった事例もあります。

 

税金は、会社売却の方が安い

会社売却は、株式の売却のため所得税が適用され、20%の税金がかかりますが、事業売却は法人税と消費税がかかるため約40%の税金がかかります。詳しくは、連載の第2回、『会社・事業の売却・・・売却手段によって変わる「税金」の種類』を参考にしてみてください。

 

デューデリジェンスは、事業売却の方が簡易的

デューデリジェンスとは、買収や投資の検討する際に、対象企業のリスクや価値を見極めるため行われる資産評価プロセスです。事業売却の場合は、単純に売却しようとしている事業についてしか行われないので、比較的簡易です。具体的には、本当に収益が出ているのかというチェック(グーグルアナリティクスのデータやASPからの入金状況、決算公告)、本当に譲渡後引き継げるのかというチェック(顧問として関わってもらえるか、外注先の引き継ぎをもらえるか、外注先との契約の権利関係)、事業が今後伸びそうか?(市場環境、競合環境、参入障壁)という部分を確認することになり、売却金額にもよりますが、早い場合1~3ヶ月で決着がつく場合も多いです。

 

会社売却のデューデリジェンスは、上記に加えて労務、法務、会計(特に貸借対照表に関する部分)のデューデリジェンスが加わります。M&Aの期間は6~12ヶ月が一般的です。

 

事業譲渡で安く買い叩かれるケース・高く売れるケース

事業譲渡の際、買い手が割引交渉してくるパターンは主に下記の二つです。

 

1.買い手が同業でない場合

引き継いだ後に運営できる人的リソースがないとそもそも買えないという判断で断られてしまうことが多いです。顧問や外注体制の引き継ぎ等を行うと言っても断られてしまうが多い印象です。

 

2.買い手が同業他社の場合

運営できるリソースがあると自分達で0から作ってしまった方が安いと交渉されることが多いです。高く売れる場合は、買い手は運営でますが、自社で構築するのが圧倒的に時間がかかる場合や独自の強み、圧倒的シェアなどがあり引く手数多な状態ですと高い売却は可能です。

M&Aクラウドは、EXIT経験のあるメンバーが立ち上げた中小・ベンチャー企業向けのM&Aマッチングプラットフォームを運営するスタートアップ企業。
中小ベンチャーM&Aマッチングプラットフォーム「M&ACloud」を提供。

写真は、代表取締役CEOの前川拓也氏。

著者紹介

連載事業承継の悩みを解決する「M&A」の基礎知識

本連載は、株式会社M&Aクラウドのサイト『M&A to Z』(https://media.macloud.jp)から転載したものです。

 

 

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