仲介とFAの違いから見る、M&Aにおける「業者選び」のポイントを見ていきます。※本連載では、事業承継の選択肢のひとつとして、M&Aの基礎知識を紹介します。

仲介は売り手と買い手の両方、FAは片方のみをサポート

M&Aを進めようとすると、仲介業者は良くない。FAの方が良いというアドバイスを受けることもあると思います。仲介とFAは何が違うのかそれぞれのメリットデメリットも合わせてご紹介します。

 

M&A仲介とは

M&Aにおける仲介とは、売り手と買い手の間に入り、双方の条件を詰めて成約に導く業者のことです。「仲介」ですから、売り手と買い手の両方から手数料を一般的には請求します。不動産取引と意味合いが近いかと思います。ちなみに手数料は、一例になりますが、売却価格の5%程度です。

 

M&AにおけるFAとは

FAとはファイナンシャル・アドバイザーの略で、その名の通りM&Aにおける助言業務を行う業者です。仲介と違う点は、FAは、売り手についたのであれば売り手の利益を最大化するために努力し、買い手についたのであれば買い手の利益を最大化する努力をするため、手数料はどちらか片方からしか受け取ることはありません。

 

FAの仕組みは、上場企業同士のM&AやクロスボーダーM&A(海外を介してのM&A)で一般的とされています。上場企業で一般的な理由は、あとで何か不祥事が会った時に、FAでないと株主からの責任が取りづらいためです。

早い成約を望む場合、規模が小さい場合は「仲介」を

M&A仲介のメリット

日本の中小企業のM&Aにおいては、仲介の方が一般的です。

 

売り手にとってのメリットとしては、FAに比べて成約しやすいということが挙げられます。FAは、お互いの利益を主張するので、交渉自体が長くなりやすいこと、破断しやすいことが挙げられます。言い過ぎるFAがついた場合はしこりが残ってしまうケースもあります。

 

また手数料の額は、仲介は両者から手数料を取るため、FAに比べて手数料が多少安くなっていることもあります。早く成約させたい、売上が数億円以下と規模が小さいという場合は仲介の方がいい場合の方が多いでしょう。

 

M&AにおけるFAのメリット

M&A仲介は双方代理であり、利益相反行為であるということを言われる業者は少なくありません。FAのメリットは何と言っても、自社の要求を満たせることでしょう。M&A仲介業者によっては、買い手はリピート顧客になり、売り手は一度契約するとまた会うことはないということで、若干買い手寄りな発言になっている業者もいます。また中小企業M&A仲介の場合、売り手よりも買い手の方がフィーが高くなっていることが多いので、コスト面での不公平感もあると言えるでしょう。

 

売り手としては、規模が大きく売却が長引いてもいい場合で、自社の価値に絶対の自身があり高く売却したいのであればFAを選ぶメリットがあります。買い手としては、実際にFAであっても仲介であっても良い売り案件を抱えている業者と契約することになるのが現実かと思いますので、案件ごとにケースバイケースと言えるでしょう。

本連載は、株式会社M&Aクラウドのサイト『M&A to Z』(https://media.macloud.jp)から転載したものです。

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