今回は、M&Aにおける節税の手法を見ていきます。※本連載では、事業承継の選択肢のひとつとして、M&Aの基礎知識を紹介します。

「退職所得控除」によって節税効果が期待できる

M&Aにおいて、個人が株式を売却する際、退職金を使うと節税効果で実質的な譲渡益が大きくなることを知っていましたか? 今回は、退職金とM&Aによる節税の方法を紹介します。

 

退職金を受け取らずに株式売却対価として現金を受け取った場合

個人が、会社を売却する際に、株式を譲渡する場合は、買い手から受け取る代金-(株式取得費用+譲渡にかかった費用)である譲渡益に対して20%の所得税が課税されます。ちなみに、譲渡にかかった費用は、M&Aアドバイザーに支払う費用も含めることができます。

 

一部対価として退職金を受け取った場合

退職金の場合は、退職所得控除がなされ、その2分の1について所得税率がかかるということになるので、かなり税負担が軽減されます。下記の計算がなされます。

 

(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額

 

勤続年数(=A)    退職所得控除額

20年以下            40万円×A (80万円に満たない場合には,80万円)

20年超      800万円+70万円×(A-20年)

 

勤続年数に応じて控除額が変わるので、事業承継でM&Aを考えているようなオーナー経営者にとっては、非常に有効な仕組みだと思います。

退職慰労金が使えず、課税対象が増えるケースに注意

退職金を譲渡対価として使う場合の注意点

過度に退職金を支払うような仕組みにされていた場合は、買い手企業が取得した会社に現金がない、損失が膨らむということになり、企業価値が目減りしているものを買うことになってしまいます。揉め事の種になりやすい部分ですので、買い手企業と適切な金額を擦り合わせてどこまでを退職金として処理するか決めましょう。

 

法人が売主の場合と事業譲渡の場合

法人が売主の場合、事業譲渡の場合は退職慰労金の規定は使えません。法人が株式を譲渡した場合、法人税の課税対象となり、40%の税金が課税されることになります。事業譲渡の場合、上記40%の課税に加えて、消費税8%も課税対象になります。決算時期をよく見た上で事業譲渡しましょう。

本連載は、株式会社M&Aクラウドのサイト『M&A to Z』(https://media.macloud.jp)から転載したものです。

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