今回は、臨終から葬儀、その後の法事までの一般的な流れと、必要となる書類を用意するタイミングを解説します。※本連載は、行政書士として活躍する山口朝重氏監修の『もしもの時の手続きガイド』(リベラル社)の中から一部を抜粋し、身内が亡くなった際にすぐに行うべき手続きをわかりやすく紹介します。

臨終から納骨までの基本的な手順

臨終からの一般的な流れを把握しておきましょう。なお、地域によっては、異なる場合があります。

 

 臨 終 

 

医師が死亡を確認したら、末期の水(まつごのみず)を取ります。最近ではあまり見られなくなりましたが、これは、仏教に由来する故人の唇に水を含んだ脱脂綿を当てる儀式で、「死に水を取る」ともいいます。配偶者(妻や夫)・子・両親・兄弟・友人と、故人との関係が深い順に行います。

 

 遺体搬送の手続き 

 

病院で亡くなった場合は、自宅などに遺体を搬送する手続きをします。葬儀を依頼する葬儀社にお願いするのが一般的ですが、提携する業者を病院から紹介してもらうこともできます。なお、遺体搬送には医師から「死亡診断書」(連載第2回参照)を交付してもらう必要があります。

 

 近親者への連絡 

 

自宅などに遺体を安置したら、近親者へ連絡を入れます。同時に、葬儀社と通夜や葬儀・告別式についての打ち合わせを行います。喪主と世話役、式の概要が決まったら、勤務先や関係者、近隣の方に連絡します。

 

 ポイント!

喪主は、葬儀の取りまとめや弔問客・僧侶への対応など、遺族を代表して重要な役割を担うことになります。基本的には配偶者がなりますが、遺言による指定があれば、その方が喪主となります。配偶者が亡くなっている場合などは、直系男子→直系女子→故人の両親→故人の兄弟姉妹の順に喪主となります。

 

 通 夜 

 

通夜は、遺族・親類縁者、故人と特に関係が深かった人のみが集まって、最後の夜を過ごすものです。以前は朝まで行われていましたが、今は日が変わる前までには終わる半通夜が一般的です。最近では、通夜を行わない一日葬も増えています。

 

 葬儀・告別式 

 

通夜の翌日に、葬儀ならびに告別式が行われます。故人を丁重に弔い、最後のお別れをします。宗旨や宗派によって形式の違いがありますが、僧侶による読経、焼香、弔辞 、弔電、献花という流れで進められます。

柩(ひつぎ)のふたを閉める前に故人の愛用品を入れますが、最近では骨箱に入れるケースも増えてきました。

 

 出棺・火葬・骨上げ 

 

柩は、遺族や親族の男性数人で運びます。頭を先にして、霊柩車に乗せるまで同じ向きのまま進みます。喪主から会葬者へのあいさつが終わると、車に乗り込み火葬場へ向かいます。

約1〜2時間ほどで火葬が終わると、骨上げを行い、骨を骨壺に納めます。

 

 納 骨 

 

納骨の時期に特に期限はありませんが、多くの場合は四十九日の法要と併せて行われます。

 

 ポイント!

多くの斎場や火葬場は、「友引」を休業日としていますが、近年の需要増加により対応しているところもあります。希望する場合は、問い合わせてみましょう。

全体の流れ・必要書類を準備するタイミングのまとめ

全体の流れ・必要となる書類の手続き

 

 

 

臓器提供に関する意思は、普段から確認しあっておくとよいでしょう。腎臓を70代で、眼球を80代で提供した事例もあります(NPO 法人日本移植者協議会)。なお、ドナーカード(臓器提供意思表示カード)は市区町村窓口でもらうことができます。

※本連載の内容は、平成29(2017)年9月現在の情報に基づいています。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

もしもの時の手続きガイド

もしもの時の手続きガイド

山口 朝重

リベラル社

「身近な人が亡くなった」 「相続の仕方がわからない」… そんな「もしもの時」に備えるために、手続きの仕方をわかりやすく解説。葬儀の手配のほか年金や相続などに関する手続きなど、期日が早いものから順に整理すること…

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