実際に「億単位」を稼ぎ、相場取引だけで生計を立てている個人ディーラーが一般人の目に触れる機会はほとんどありません。本連載では、投資顧問会社「林投資研究所」代表取締役 林知之氏の著書『凄腕ディーラーの戦い方 億を稼ぐトレーダーたちⅡ』(マイルストーンズ)から一部を抜粋し、普段は表舞台にあまり出ることがない凄腕ディーラーたちに林知之氏が直接インタビューして聞き出した、株式投資で勝つためのリアルな「相場哲学」を紹介します。

きっかけはTVゲームの株式売買ソフト

4月に38歳になったばかりの坂本慎太郎氏は現在、自らの資金でトレードをするかたわら、継続的なスクール形式で、個人投資家に技術を伝える仕事にも携わっている。

 

彼の経歴は多彩だ。学生時代は個人投資家、卒業後にメーカーの営業マンを経験したあと、数社で証券ディーラー、かんぽのファンドマネージャーを歴任、そして今、再び個人投資家として活動している。

 

マーケットを見る目は当然、間口の広さと奥行きを兼ね備えている。スクールで個人投資家をリードする姿勢も丁寧で、説明もわかりやすいのだろう。なにより、業界人にありがちなギラギラ感がない。

 

インタビューは2017年4月28日、林投資研究所のオフィスで実施した。〝隠れた実践家〟ではなく、個人投資家を対象に活発に活動する人物であり、ホンモノのプレーヤーでもある。

 

─トレードを始めたきっかけはなんですか?

 

小さいころから「公文」をやっていたので、小学校に入る前に、けっこう漢字を読むことができたんです。それで、家にある新聞をふつうに読んでいました。

 

経済記事を読んでいたわけではありませんが、数字がたくさん並んでいる「株価欄」に興味をもったのです。親に聞いたら「それは株価だよ」と教えてくれましたが、両親とも株の売買はしていなかったので状況は進展せず・・・。ただ、TVゲームのソフトで株式売買シミュレーションがあったんですよ。架空の銘柄が100くらいあって、チャートも表示できるスグレモノで、それをやっているうちに株への興味がどんどん深まりました。

 

信用取引の仕組みも、そのゲームで覚えました。「なるほど。これを使うと、資金より大きな取引もできるんだ」って。

 

─でも、親の積極的な援助がないから、実際の取引はしていなかったわけですよね?

 

そうなんです。小学校5年生、6年生のころがバブル相場のピークで、新聞の株価欄で値を追いながら、「すげぇ〜」なんて思っていましたけど、実際に取引できるわけではないので、当然のことですが、中学、高校時代は部活、バンドと、ごく当たり前のことに夢中になっていましたね。

 

株の本はときどき読んでいましたが、実践を伴っていなかったので、特に研究テーマもなく、売買手法を学んだわけでもなく、ちょっとした機会に古本屋で見つけた本を読んでいた程度です。

最初は、単純な〝材料狙い〟だったが・・・

─実際のデビューはいつですか?

 

初取引は、大学生の時でした。

 

アパート暮らしをしていると、勉強のほかに身の回りのことをする、バイトもする、遊びにも行きたい・・・時間とおカネを計算して「効率が悪い」という発想になったのです。そして、この非効率な状態を解決するには、効率よく収入を得るしかない。「それは株だろう」と・・・。

 

僕が20歳になった直後くらいのことでした。バイト代を貯めて資金に充てました。

 

─どんなことを基準に売買をスタートしましたか?

 

最初は対面取引で口座を開き、わりと短期間のうちにネット取引に移りましたが、今とちがって「デイトレードでクルクル回したって儲からないでしょ」という認識がふつうでしたよね。素直にそれに従い、月々かかるおカネを稼ごうとしていたので、1〜3カ月くらいの売買を想定しました。

 

最初は、単純な〝材料狙い〟でしたね。「夏に飲料株が上がるから仕込んでおこう」なんて、そこらのマネー誌に書いてあるようなことが意外と機能していたんですよ(笑)。

 

特にこれという軸もなく、なんとなく「株って面白いなあ」みたいなノリで売買していました。それでも、家賃などの生活費を賄うことに成功していましたね。今よりも情報が少なくて、「そんな考え方があるのか。試してみよう」と研究するうえで、ちょうどよかったのかもしれません。

 

(続)

凄腕ディーラーの戦い方 億を稼ぐトレーダーたちⅡ

凄腕ディーラーの戦い方 億を稼ぐトレーダーたちⅡ

林 知之

マイルストーンズ

相場で生き抜くための知恵と戦術。ほんとうに相場で生計を立てている人のホンネ、表舞台にあまり顔を出さないスゴ腕ディーラーたちの相場哲学を凝縮した「珠玉」のインタビュー集。

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