今回は、凄腕の株式トレーダーに「キャリア初期に勝つことができた要因」を聞いていきます。※本連載では、投資顧問会社「林投資研究所」代表取締役 林知之氏の著書『凄腕ディーラーの戦い方 億を稼ぐトレーダーたちⅡ』(マイルストーンズ)から一部を抜粋し、普段は表舞台にあまり出ることがない凄腕ディーラーたちに林知之氏が直接インタビューして聞き出した、株式投資で勝つためのリアルな「相場哲学」を紹介します。

「生活費を稼ぐ」という確固たる目的

(本インタビューは前回からの続きです)

 

多くのオトナが、雑誌などの断片的情報をもとに株を売買し、お約束のようにヤラレて消えていく・・・そんな現実を考えると、坂本氏が初期からコツコツと勝ちを重ねたことは信じがたい。

 

インタビューといっても、真の狙いは〝楽しい相場談義〟を展開することだ。彼と私で「なぜ勝てたのか」を考えていったところ、重要な要因に気がついた。生活費を稼ぐという、確固たる目的があったことだ。

 

少ない資金で目先の経費を稼ごうとするのだから、塩漬けは許されない。買って上がったら利食い手仕舞いをする、ダメな場合でも引きずらないという〝適正な回転〟が実現したからではないか。

 

本人は「次の銘柄を買いたかっただけです」などと言っていたが、最初から売買の〝期間〟を意識していた点がよかったのだろう。利食いしたおカネを使ったらそれきり、元の資金で再び稼ごうと頭を働かせる──そんな状況が、ヘンな逃避行動を生まずに功を奏したのだという結論になった。

 

しかし、彼の華々しいスタートの裏には、もっと大きな勝利の要因があった。

戦略を立てて計画的「パチンコ」に臨む⁉

─バイト代だけでは、生活費を稼ぐための資金として、物足りなかったのではありませんか?

 

実は、パチンコで稼いで年間100万円、2年間で合計200万円ほどを追加できたんです。

 

母がパチンコ好きで、専業主婦のヒマつぶしとはいえ、手堅く勝つ方法を心得ていたので教わりました。パチンコは時間がかかるので、夏休みなどに集中して取り組んだのですが・・・。

 

実は、トレードの〝チャート理論〟と同じ発想なんですよ。

 

─詳しく説明してもらえますか?

 

今のパチンコは電子式で、「大当たり」でドンッと玉が増えるじゃないですか。その〝波〟を読む、ひとつの観察法です。

 

出玉の状況を時系列的に見て「この線がそろったらリーチのラッシュがくる」みたいな、一種の予測法ですね。

 

─そんなカンタンに当たるものなんですか?

 

当たる、というよりも、対応なんですよね。

 

狙った状況になるかどうかは予想できませんが、「リーチのラッシュになる可能性の高い状況」を待ちながら一定金額を使うんです。2000円か3000円つぎ込んでダメだったら〝損切り〟して別の台に移動する、狙った状況が訪れたら続ける、という具合に、戦略を立てて計画的に臨むわけですよ。このアプローチは、そのままトレードに役立ったと思います。

 

─まさに相場ですね。でも、それを自分のものにする感性があったのでしょうね。

 

ギャンブルというか、自分で戦略を立てて自由に行動する〝ゲーム〟が好きなんです。あと、おカネも好きなんですよね。小学生のころは、お年玉をせっせと貯めて、親に貸して利子をもらっていましたから。

 

─なんですか?それ(笑)。

 

貯めたおカネをムダづかいせずに残しておき、こづかいが足りなくなった父に貸して利子をもらうんです(笑)。

 

(続)

本連載は、林知之氏の著書『凄腕ディーラーの戦い方 億を稼ぐトレーダーたちⅡ』(マイルストーンズ)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、出版社および幻冬舎グループはその責を負いません。

凄腕ディーラーの戦い方 億を稼ぐトレーダーたちⅡ

凄腕ディーラーの戦い方 億を稼ぐトレーダーたちⅡ

林 知之

マイルストーンズ

相場で生き抜くための知恵と戦術。ほんとうに相場で生計を立てている人のホンネ、表舞台にあまり顔を出さないスゴ腕ディーラーたちの相場哲学を凝縮した「珠玉」のインタビュー集。

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