土台は「移動平均線から乖離したら戻る」という考え方
この手法の土台は、「移動平均線から乖離したら戻る」という考え方です。波は寄せては返しますが、それと同じです。ときには大波が押し寄せますが、しばらくすると落ち着き、また静かな海が戻ります。トレンドが発生すると、移動平均線から乖離しはじめるのですが、一時的に反転します。そしてまた乖離し、反転を繰り返します。これが「相場の波」といわれるもので、この反転するタイミングを狙うのが私の手法です。
もし、相場に押し戻しがなければ、本手法のような逆張りは通用しないでしょう。しかし、相場は一方向へ進み続けることはなく、必ず押し戻しのような一時的な反転があるものです。それが相場の仕組みであり、それはこの先も変わらないでしょう。
このように、手法の根底となる仕組みを理解しているからこそ、逆張りに自信を持てるのです。ただ単に、エンベロープのゾーンに入ったから逆張りをするというだけでは、あまりにも根拠が少なすぎます。それでは、エンベロープが機能するかどうかで損益が決まってしまい、勝ち続ける手法とは思えません。ちょっと相場が変化しただけで、エントリータイミングもかみ合わなくなります。
聖杯といえるインジケータが存在しない以上、判断をすべてインジケータに委ねているようでは、トレードで勝ち続けることはできないのです。
「移動平均線から乖離したら戻る」という概念が土台にあり、エントリータイミングをエンベロープで測っているだけです。つまり、重要なのはエンベロープではなく、概念です。この概念がしっかりしていれば、基本のルールに自信が持てるのはもちろん、ルールを逸脱したケースでも応用が可能になります。
次章以降(※書籍参照)、必要な知識の他、応用編を説明していきますが、「相場は押し戻しがある」という概念をしっかり理解できていなければ、ルールを逸脱することに不安を覚えるでしょう。すがる思いでエンベロープを使うのではなく、たまたま使っている程度で考えてもいいと思います。移動平均線からの乖離を見るのに、エンベロープが見やすかったという程度です。「他にいいインジケータがあれば、エンベロープは使わなくてもいい」という考えすらあります。それは、「相場は移動平均線から乖離したら戻る」という概念が最も重要だからです。
ローソク足も「伸びたら縮む」のが基本だが・・・
移動平均線から乖離して反転するといっても、なかなかイメージしにくいかもしれません。そこで、ローソク足を「バネ」として考えてみてください。バネは伸びたら縮むように、バネの大きさがトレンドの大きさです。大きなトレンドなら値幅が出て、乖離幅も大きくなります。その分、反転も大きくなります。大きなバネほど長く伸びる反面、縮み方もより大きくなりますよね。
これはどの時間足でも同じです。1分足なら伸びたローソク足は1分の中の動きということになります。1時間足なら、1時間かけてローソク足が伸びている(トレンドが出ている)ということになります。
1時間足は、1分のローソク足が60本です。60本のバネを足して、1時間足という1本のバネを形成しています。このように、相場はマルチタイムでとらえるとイメージしやすいのです。
ただし、伸びたバネは100%縮むわけではありません。限界を超える力が加わると伸びたまま戻らないように、トレンドが強いと戻らないことがあります。伸びたら縮む確率のほうが高いのですが、バネが壊れるという表現は変かもしれませんが、ときには伸びたまま硬直してしまうことがあります。
あくまでも、通常の相場では伸びたら縮むもの、と考えてください。相場に100%はないことを意味し、逆行したときの損切りは絶対に行なうべきだという教えにもなります。