「1分足チャート」を活用するのが一般的だが・・・
スキャルピング(“scalping”)は、「頭の皮を剥はぐ」というネイティブアメリカンによる語源があり、文字通り、薄い皮を何枚も剥ぐように、相場から小さな利益を取っていく方法です。1回の取引は数秒から、長くても数分といった超短時間で、これを繰り返し行なうトレードスタイルです。中には、1日に100回以上取引をするトレーダーもいます。
短期売買であるがゆえに、1分足チャートを活用するのが一般的です。しかし、チャートを開いてずっと1分足だけ見ていればいいというわけではありません。長い時間軸を併用し、大局をつかんだうえで、細かい値動きを1分足でとらえることが必要です。よく、書籍やSNSで、「1分足以外は見ない」というやり方が紹介されていますが、これを鵜呑みにしないでください。本当に1分足しか見ないのではなく、長い時間足は当然に頭に入っていて、「エントリータイミング」を1分足で測っているだけ、と解釈すべきだと私は考えています。
ただ、最終的に、あなたが独自の手法を築いたとき、1分足しか見ないトレードならそれは正解でしょう。それまでに試行錯誤をし、その結果として1分足だけのよさが理解できているからです。
しかし、スキャルピングのスキルアップをはかる現段階で、時間軸を1分だけに絞ってしまうのは危険です。1分足だけ見て売り買いしていても、やみくもなトレードになるのがオチでしょう。
トレードの結果が「期待値」に収束していく理由
スキャルピングは、一度コツをつかむと、短期間でものすごい利益を出せるようになります。なんといっても、これは最大の魅力です。1回の獲得pipsは少ないのですが、取引枚数を上げるとそれに応じて1回の利益額は増えます。そして、取引回数の多さが、さらに資産増加を加速させます。枚数を増やして何度もサクサクと利益を取るようなイメージだと考えてください。
私が1回のトレードで得る利益は、数千円から、多くても数万円です。しかし、数万円の利益を毎回得ているのではありません。相場次第では、数秒から数分で10万円以上の利益になることはありますが、それは大相場のときなどです。取引の多くは1回数千円の利益です。「たったそれだけ?」と感じるかもしれません。しかし、1回の取引で得る利益は少なくても、それを毎日繰り返していくと、月単位で数百回、多い月では数千回にも及びます。仮に、1回の取引利益が5000円だとしても、100回勝てば50万円、1000回勝てば500万円にもなります。毎月の取引回数を考えれば、1回数千円の利益でも十分なのです。
このように、取引回数が多いため、利益が早く積み上がるのです。1回の利益は少ないとはいえ、一般社会では、10秒足らずで5000円を稼ぐことは不可能です。その意味では、やはり特殊な世界といえます。
スキャルピングは数秒から数分で、トレード結果がすぐにわかります。そのため、トレード手法に期待値があるかどうか、短い期間で検証することができます。仮に500回のトレードを行なうのに、スキャルピングなら数か月あればできるでしょう。相場次第では1か月かからないときもあります。しかし、デイトレードやスウィングトレードだと、1年かかるかもしれません。
そのため、そのやり方が駄目なら次のやり方を検証でき、よいものはもっと伸ばすという判断を短期間で行なうことができるのです。
たとえば、コインを投げて裏か表のどちらか出るかを検証するとします。一時的に裏、もしくは表の出る回数が偏るかもしれません。しかし、投げればなげるほど、表と裏の出る確率は限りなく2分の1に近づきます。これは「大数の法則」というもので、トレードにもあてはまります。500回、1000回とトレードすれば、結果は期待値に収束していきます。この期待値がプラスであることが不可欠ですが、そうか否かを知るためには検証結果が早くわかるほど、時間的に有利なのです。FXをやっている人は本業を持っている人が多いかと思います。できれば時間をかけずに、たしかな手法を検証できるようになれば理想的です。
期待値がプラスであれば、取引回数はチャンスの数になります。
1000回トレードを行なえば、1000回のチャンスがあることになります。毎日チャンスがあれば、それを逃すわけにはいきません。期待値が高いやり方を構築しているので、やればやるほどトータルでは利益になるのです。「専業トレーダーになって毎日チャンスを手にしたい」、この考えが強くなり、私は専業トレーダーになりました。