前回までは、エンタメ業界に特化して成功した税理士の事例を取り上げました。今回は、飲食業界に特化して成功した事例を見ていきます。

テストマーケティングを経て、特化する業種を絞り込み

事例3「飲食業」に特化、年間200件以上開業のお問い合わせを受ける

 

複数の業種でテストマーケティングをして、ニーズと自身の好奇心の度合いをはかった上で、計画的に飲食業を選択し、さらに初出店専門として税理士事務所経営をしている大野先生のケースです。

 

ITA大野税理士事務所の税理士である大野先生は、近年の税理士業界は成熟期に入ったのだと考えていたそうです。成熟期に入ったことで、今後、業界が全体的に低価格路線に進んでしまうこと、また自身がそれに巻き込まれてしまうことを危惧されていました。

 

 

そこで、誰にも負けない強みを見つけていかないと、税理士であっても現代の税理士業界では生き残れないと危機感を持ちました。そして、美容・介護・飲食・会社設立・相続などの業種でテストマーケティングを行うなど、業種と業務を完全に絞っていくことを考え始めました。

 

また、大野先生自身も、一般の方が税理士を思い浮かべるときに、硬い、暗い、怖いというイメージがあり気軽に喋りづらいと考えていたそうで、それによってお客様が損したり、経営判断を誤ったりしてしまうことを問題視していました。

飲食業の開業融資専門に特化した税理士へ

飲食業を選んだのは、何らかの強みを持たないといけないという危機感があり、テストマーケティングをして様々な要素を検討した結果、飲食業が良いと判断されたからだそうです。飲食店といえば、その数が非常に多いことから、税理士が特化しても商売として困ることは考えにくい市場ではあります。

 

ただし、現在ではそんな飲食業に特化している税理士事務所も増えてきています。そこでの差別化も考えなければいけませんでした。

 

そして、大野先生は飲食店を廃業させず継続させていくために、ある一つのことが大事だと気がつきます。それは、運転資金をショートさせないことです。飲食店の大きな廃業原因の一つが運転資金不足だったために、飲食店は開業時からの計画が非常に大事なことだと考えるようになりました。

 

ところが、そんな開業時の運転資金に対するフォローやアドバイスを突き詰めていくためには、飲食店開業融資専門税理士にならなければいけませんでした。そこで、2年前に飲食店以外の他の業種を集客する事は一切やめたそうです。

 

飲食店専門税理士とホームページで名乗る税理士が多くなりましたが、ほとんどが他の業種も集客、支援しながら運営している何でも屋税理士がほとんどです。 そういったスタンスをやめて、初めて飲食店を開業する方で、融資が必要である方のための専門サービスを行うことにしたのです。飲食業に特化し、さらにそこから開業融資専門にされたのはおそらくITA大野税理士事務所しかいないと思われます。

本連載は、2016年12月9日刊行の書籍『「税理士」不要時代』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「税理士」不要時代

「税理士」不要時代

渡邊 浩滋

幻冬舎メディアコンサルティング

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