今回は、「地域通貨」にブロックチェーンを活用した事例を紹介します。※本連載は、NTTデータ経営研究所でシニアコンサルタントとして活躍する桜井駿氏の著書、『超図解ブロックチェーン入門』(日本能率協会マネジメントセンター)の中から一部を抜粋し、ブロックチェーンがもたらす様々な変化について、具体例と図解で分かりやすく紹介します。

飛驒信用組合が「さるぼぼコイン」の実証実験を開始

地域内での消費を、地域内で循環させることで、地域の発展を目指す試みが日本各地で行われています。その代表例が、利用地域を限定した「地域通貨」の取り組みです。そして、地域通貨をブロックチェーンのしくみを使って構築・提供する試みが、日本国内で登場してきています。

 

岐阜県高山市が本店の飛驒信用組合は、インターネットサービス企業のアイリッジ社(東京・港)と共同で、2017年5月15日に独自の地域通貨「さるぼぼコイン」の実証実験を開始しています。

 

「さるぼぼコイン」とは、スマホアプリ上で利用できる電子通貨で、飛騨・高山エリアを中心に地域限定で使うことができます。飛騨信用組合の全職員(約200名)と地域の商店街のイータウン飛騨高山、でこなる横丁(高山市)、やんちゃ屋台村(飛騨市)が協力し、決済手段として「さるぼぼコイン」の利用を促し、約3ヵ月間の実験を経て、2017年10月に本格稼動します。

 

この取り組みの主眼は地域経済の活性化ですが、訪日外国人観光客向けの利便性の高い決済手段を実現することも目指しています。

利用しやすく、システム導入費用が少ないことが重要

地域通貨の取り組みはこれまでも様々な地域で行われてきました。その成功のカギは利用者や店舗が使いやすく、システム導入コストの負担なども少ないことが挙げられます。

 

「さるぼぼコイン」の場合、利用者は飛騨信用組合の窓口で1円を1コインとして換金し、買い物するときには店に提示されたQRコードをスマホで読み取り決済します。店側はQRコードを用意するだけで特別なシステムが不要のため、コスト負担が少なくて済みます。なお、「さるぼぼ」とは飛騨地方に昔から伝わる人形のことです。

 

これ以外にも、山陰合同銀行(島根県松江市)、近鉄グループホールディングスなどで実証実験が行われ、地域通貨の普及を目指しています。

 

[図表]地域通貨へのブロックチェーン活用イメージ

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