今回は、ブロックチェーン技術の向上で「貿易取引」はどう変わるのかを探ります。※本連載は、NTTデータ経営研究所でシニアコンサルタントとして活躍する桜井駿氏の著書、『超図解ブロックチェーン入門』(日本能率協会マネジメントセンター)の中から一部を抜粋し、ブロックチェーンがもたらす様々な変化について、具体例と図解で分かりやすく紹介します。

事務手続きの効率化、コストダウンに期待が集まる

現在の貿易取引は、輸出者、輸入者、輸送会社、金融機関など複数の関係者の間での書面によるやりとりが基本です。参加者や手続きが多いため、商品の引渡しと決済のタイムラグを織り込んで行わなければなりません。

 

特に重要な書面は、輸出者(売り手)と輸入者(買い手)の双方のリスクを回避するために銀行が発行する「信用状」という書類です。現在、こうした書面はメールや郵送でやりとりされていますが、紛失のリスクや内容確認の手間や多大な時間を要することに課題があります。

 

そこで、こうした課題を解決する手段として、書面を電子化してブロックチェーン上で取引を行うという取り組みがスタートしています。

 

その方法は至ってシンプルです。信用状などの書類を、ブロックチェーン上にアップロードし、参加者で共有することで、書類受け渡しの時間や事務手続きを効率化します。そして作業がシンプル化されることにより、ミスの軽減やコストダウンにもつながり、今後、広く普及していくものと期待されています。

企業もブロックチェーンを活用した実貿易取引に意欲

2017年7月には、みずほフィナンシャルグループ、みずほ銀行、丸紅、損害保険ジャパン日本興亜などが中心となり、ブロックチェーンを活用した豪州・日本間での実貿易取引を完了させたとの報道がありました。

 

海外でも同様に貿易業務へのブロックチェーンの取り組みがあるほか、国内でもスタートアップが登場しています。

 

そうしたなか、貿易業務を効率化させるサービスも登場しています。AIやブロックチェーンを手がけるZenport社(東京・渋谷)では、2017年4月に貿易業務の全自動化クラウドソフト「Zenport」をリリースし、現在オープンβ版として提供しています。

 

[図表]クラウド上で取引可能

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